レインボーのリモートコントの異常なリアリティ

2020.10.9

(c)YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD
文=かんそう 編集=鈴木 梢


『キングオブコント2020』で美しい女装姿が話題となった空気階段の水川かたまりだが、それ以前に水川にメイクを施していた芸人がいる。レインボーの池田直人だ。彼は以前からコントで女装姿を披露しており、その姿は女装というよりは女性そのもの。姿だけでなく、レインボーのふたりによるコントは異常なリアリティを持っている。何が彼らのコントにリアリティを持たせるのか。


いい意味で「胃に悪い」コント

以前「ジャルジャルが状況を逆手に取った『リモートコント』の完成度の高さ」という記事を執筆し、リモートコントの難しさとジャルジャルの発想力の高さを紹介したのだが、もうひと組、ジャルジャルとはまったく別の視点から「リアル過ぎるリモートコント」をするコンビがいる。それがレインボーだ。

ジャンボたかおと池田直人からなる吉本興業所属のコンビで、2018年の『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ)の人気企画「おもしろ荘」で優勝した経験もある注目の若手芸人。ジャンボたかおのウザ暑苦しいボケと、池田直人の完成度の高い女装が特徴だ。

男女感のあるあるや嫌な部分を容赦なく描いた彼らのコントは、いい意味で「胃に悪い」。コントのほとんどはボケらしいボケやツッコミらしいツッコミがなく、徹底的にひたすら嫌な人間同士の会話、嫌な男、嫌な女、そのリアリティだけを追求しぶつけてくる。ある意味「あるあるネタ」の一種で「そんな経験1ミリもしてないけどありそう」と思わせられてしまう。観ていると「死ぬほど腹が立つのにめちゃくちゃ笑える」という謎の感情が湧き上がってくる。

【コント】クリスマスの夜、なんとかならなくてキレる男(【公式】レインボー コントチャンネル)

そんなレインボーのリモートコントはそのリアリティにさらに拍車がかかっている。自分だけの空間で離れた他人とコミュニケーションを取ることができる「リモート」というある意味で特殊な状況だからこそ生じる人間関係の「ズレ」や「本性」があらわになっていき、もはや「何を観せられているのか」という気にすらなる。コントというよりも本当にどこかで存在している人間たちのプライベートをのぞき見しているような感覚に陥る。それくらいふたりの演技力が化物じみている。

レインボーの「リモートコント」のリアリティ


この記事の画像(全1枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。