ジャルジャルが状況を逆手に取った「リモートコント」の完成度の高さ

2020.5.20
ジャルジャル_リモートコント

文=かんそう 編集=鈴木 梢


コロナ禍でリモートワークをしている人々は多いが、エンタテインメント業界も例外ではなく、たとえばテレビ番組、音楽やお笑いのライブ、演劇なども「リモート状況でどのように効果的な演出をするか」の勝負になっている。

お笑いコンビのジャルジャルは、「リモートコント」をYouTubeで公開している。彼らはリモートの状態で、どのようにコントを演出しているのか。状況を逆手に取った新たなコントの完成度の高さを、かんそうが解説する。


世界観を現実に引っ張ってくるコント

ジャルジャルの公式サイト『JARUJARU TOWER ジャルジャルタワー』をご存知だろうか。

「ネタ8000本を毎日アップロードしジャルジャルのタワーを作り上げていく」というコンセプトのもと、毎日欠かさず新ネタをYouTubeにアップしつづけており、執筆時点(5月12日)で897本(単純計算であと19年かかる)の動画を公開している恐ろしいチャンネルだが、この外出自粛期間中に行っている「リモートコント」の完成度の高さに震えおののいている。

最も衝撃を受けたのが、2020年4月24日にライブ配信された『ハズレの先生にリモート授業される奴』。もともと『ハズレの先生が担任になった奴』というタイトルで2019年5月11日にアップされていたコントを、リモート授業という形にアレンジしたものだ。

爽やかでユーモアもあり一見「当たり」の雰囲気がある「神保マオ」という新しい担任の先生が、実はイカれた課題やルールを生徒に押しつけるゴリゴリの「ハズレ」だった、という設定のコントが『ハズレの先生が担任になった奴』。それがアレンジされた『ハズレの先生にリモート授業される奴』は、「その神保がもしクラスメイト全員とリモート授業をしたら」という設定になっている。

『ハズレの先生にリモート授業される奴』

このネタのすごさは「コントの世界観を現実に引っ張ってきている」という点。単純にリモートで既存のネタをするのではなく、「コントの登場人物が現実に存在し、この状況に陥ったときにどういう行動を取るのか」という、いわば「コントのアナザーストーリー」になっているのだ。

「演技力」と「アドリブ力」によってそこに生まれる現実


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