Netflix『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』を観るべき4つの理由
「ジョーダンはあの時点ですでに伝説だった。並ぶのはベーブ・ルースか、モハメド・アリしかいない」
今春、Netflixで配信された『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』(以下、『ラストダンス』)。「バスケの神様」と呼ばれたマイケル・ジョーダン擁するシカゴ・ブルズが最後にNBAを制した1997-98シーズンを軸に描かれたスポーツドキュメンタリー。世界中にバスケブームと「スポーツのエンタメ化・ファッション化」を呼んだ90年代について、ジョーダンら当時の選手や関係者たちの証言、当時の試合映像、オフショットや未公開映像などをもとに、全10話・500分超のボリュームで構成されている。
98年の2度目の引退劇から22年。最後の引退(ジョーダンは3度引退している)から17年の歳月を経て、なぜ今でもジョーダンは求められるのか? スポーツライター・オグマナオトが4つの視点から考察する。
1.コロナ禍でバスケに飢えていたスポーツファンを刺激
『ラストダンス』が配信されたのは4月20日〜5月18日。本来であればNBAがファイナル進出をかけたプレーオフで最も盛り上がる時期だ。
だが、コロナの影響でスポーツが消えた2020年上半期。当然のようにNBAもシーズンは中断となり、6月になって「8月からの再開」が発表されたばかり。
そんな空白期間に、NBA史の中でも重要な97-98シーズンのプレーオフを追体験できる……バスケに、スポーツに飢えていたファンにとって、こんなありがたい機会はない。
実際、アメリカ国内(※アメリカではNetflixではなく、スポーツ専門局ESPNの配信)では第1話の平均視聴者が630万人。2004年以降のESPNオリジナルコンテンツで最も視聴された番組となった。
また、10話それぞれにもテーマを設定。第2話では“最強のNo.2”スコッティ・ピッペン、第3話では“最凶の悪童”デニス・ロッドマン、第4話では“最高の名将”フィル・ジャクソン、といった具合に、ジョーダンと最強ブルズとの関わりを持った人物や話題をひとつずつピックアップし、最後の第9・10話でファイナルへと向かう。
当時を知らない世代であっても、話数を経るごとにブルズやNBAへの知識と愛情が深まっていくはずだ。
2.コービー・ブライアントを偲びつつ
今年、コロナ報道以外で世界的に大きく報じられたスポーツニュースといえば、1月に起きた元NBAのスーパースター、コービー・ブライアントの墜落死だ。
優勝5回、得点王2回など、さまざまな偉業を残したレジェンドとの突然の別れ。その衝撃を受けてか、『ラストダンス』でも第5話は“コービーに捧げる回”として構成されている。ブルズ以外の選手では破格の扱い。これもまた、『ラストダンス』が今こそ観るべき作品と言いたくなる点だ。
98年のコービーといえば、史上最年少(19歳5カ月)でのNBAオールスター出場を果たし、スターへの階段を登り始めた時期。「ネクスト・ジョーダン」と呼ばれた男が本物のジョーダンと最高の舞台でマッチアップする映像も収められている。
「俺が5回の優勝をできたのは(ジョーダンら先人が)優れたアドバイスで導いてくれたからだ」という生前のコービーのコメントもまた味わい深い。
なお、第5話の本当のテーマは、「92年・初代ドリームチームとジョーダンの経済効果」について。
「ドリームチーム」といえば、92年のバルセロナ五輪以降もたびたび結成。ただ、ジョーダンが参加した「初代」の輝きが眩し過ぎた結果、以降のチームは注目度でも強さの面でも右肩下がり。2004年アテネ五輪ではまさかの銅メダルに終わってしまう。
そんなアメリカ代表の威信を復活させたのが2007年から2012年にかけて代表入りし、金メダルをもたらしたコービー・ブライアントだ。ふたりに共通するのは、病的なまでに負けず嫌いで、勝利のためにはどんな犠牲も厭わないこと。
ドリームチーム特集回にそんなコービーのエピソードを挿入することで、真のスター同士に受け継がれた「技術以上の何か」を描こうとしたのではないだろうか。
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