COVID-19下のアンビエント――イーノ、ローファイ・ヒップホップ、『都市計画』から考える

2020.5.28


個と孤を言祝ぐ、COVID-19下のアンビエント

あるいはこんな想像もしたくなる。この作品がサブスクリプションプラットフォームに登録され、アルゴリズムなり人為的なキュレーションなりによってプレイリストの中に忍び込んでいたらどうだろう。ほんの1、2分の小さな楽曲はどのようにそのプレイリストを異化するだろうか? たとえば、現代の都市生活のBGMとしておそらく最も広く親しまれているローファイ・ヒップホップのプレイリストとこのアルバムをシャッフルしたらどうだろう。ローファイ・ヒップホップの、うっすらとざらついた質感を湛え、耳なじみのよい「ジャジー」なサウンドと、削ぎ落とされた本作のサウンドを対比するのに違和感を覚える向きもあるだろう。

しかし、そのシンプルさや短さ、そして多様な聴取のレベルを許容する(ローファイ・ヒップホップについては、作り手の意図というよりもあくまで結果的に、だろうが)性格によって、本作とローファイ・ヒップホップは近接するようにも思える。ただし、YouTube上のストリーミングチャンネルを起点に人気を爆発させていったローファイ・ヒップホップは、ある音楽の名である以上にコミュニティの名であり、コミュニケーションの礎である。対照的に、『都市計画』は個であり孤であることを言祝(ことほ)いでいる。都市のテクスチュアを模するのではなく、都市の中にあるひとつのジェスチュアたろうとすることにおいて。

またそれはCOVID-19下における都市の似姿のようにさえ感じられる。2年にわたって制作されたという本作は、必ずしもCOVID-19下の現在を想定したものではないだろう。しかし今や、都市から雑踏が消え、私たちは隔離された生活の中で個であり孤であることと改めて向き合わざるを得ない。もはや都市はテクスチュアたり得ないのかもしれない。そんなアポカリプティックな想像の誘惑に駆られる。

断片的なジェスチュアとして提示されたこの作品が、『都市計画』というタイトルを掲げたこの符合を胸に、私たちはこれらのメロディに耳を傾けてみるべきだ。アンビエントたろうとするこれらのジェスチュアは、果たして私たちの姿、あるいは私たちを取り巻くオブジェクトたちの姿と似通い始める。


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    Okada Takuro + duenn『都市計画(Urban Planning)』

    2020年5月20日 デジタルリリース Newhere Music
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imdkm

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imdkm

(イミヂクモ)ライター、批評家。山形県在住。単著に『リズムから考えるJ-POP史』(blueprint、2019)。

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