陰りある時代に音楽の力で光を射す──和楽器バンド、メモリアルイヤーの『大新年会』に込めた想い
2021年でデビュー8年目を迎える、メンバー8人による和楽器バンドの年始恒例となっているライブ『大新年会』が、1月3日、4日の2日間にわたって日本武道館で開催された。
本稿では、「こんな時だからこそ、メンバー八人、世界中に音楽を。エンターテイメントを。届けたい!」という想いのもと、2021年の1年間で8つのニュースを発表する「八奏新報」の第1弾も発表された、1月4日に行われたライブ『和楽器バンド 大新年会 2021 日本武道館 2days ~アマノイワト~』のレポートをお届けします。
和楽器バンドの決意を感じさせた、ペンライト揺れる武道館の光景
太陽神・天照大御神(アマテラスオオミカミ)が須佐之男命(スサノヲノミコト)の暴挙に腹を立て、天岩戸(アマノイワト)と呼ばれる洞窟に身を隠してしまう伝説『天岩戸神話』。
天照大御神を洞窟から引きずり出し、世界に光を取り戻したのが八百万の神々の知恵と天鈿女命(アメノウズメノミコト)の舞だとするならば、陰りある時代に音楽の力で光を射していくのが和楽器バンド、そして、鈴華ゆう子の歌声なのかもしれない。『和楽器バンド 大新年会 2021 日本武道館 2days ~アマノイワト~』を観ていると、そんなことを考えずにはいられなかった。
*
オープニング映像を経て、ボーカル・鈴華ゆう子の力強い歌声からライブは開幕。キラーチューンの「千本桜」が華やかな桜吹雪と共に、一気に広がっていく。観客が声を出せない状況でも和太鼓の黒流は絶えずフロアを煽り、それにしっかりと応えるように客席のペンライトが揺れた──今年も和楽器バンドは、ファンと共に景色を作っていく。言葉にせずとも、その光景がすべてを物語っていた。
青い照明に導かれ、勢いやまぬまま「reload dead」へ。寸分の狂いもなく絡み合うドラムと和太鼓の打音は、もはや音では収まらぬ圧。一音一音が触れられそうな勢いで、目の前に迫りくる。オンラインでもライブを楽しむことはできるが、振動を肌に感じることができるのは現地ならでは。紛れもなく今生きているという事実が、オーディエンス一人ひとりに刻まれていく。尺八の高音が軽やかに抜けていく「反撃の刃」、ドラム・山葵がスティック投げをサラッと決めた「華火」と熾烈な演奏が展開される。
「オキノタユウ」では、鈴華のアテンドによりスマホのライトで武道館が埋め尽くされた。切なく響くアコースティックギター、モノクロの映像、白い息のように場内を潤すスモーク。幻想的な空気はセンチメンタルを加速させる。会場に煌めく一つひとつの光は、それぞれの命の煌めきを強調し、ステージ上の8人と溶け合うように輝いていた。
しっとりした空気に浸ったのも束の間、「起死回生」で空気はガラッと変化。三三七拍子のリズムとダンサーのパフォーマンスで、一気に武道館の温度を上げていく。“最後の壁は自分で超えるんだよ”という歌詞と共に、ギター&ボーカルの町屋が胸を叩いたのは「日輪」だ。コロナ禍で生まれた一曲ということもあり、言葉のリアリティが凄まじい。箏のソロパートでは、いぶくろ聖志が文化箏の白鷺をキーボードのように担いでプレイ。和太鼓&箏&ドラムの後列3人は動かない、という固定概念を打ち破ってみせた。
1年で8つのニュースを届ける“八奏新報”の第1弾として、4月より放送が決定しているテレビアニメ『MARS RED』のオープニングが新曲「生命のアリア」になることが発表されると会場は拍手で祝福。トレーラーが流れるときには映像が乱れるハプニングも発生したが、そんなときだって楽しんでしまうのが和楽器バンドの8人。
尺八の神永大輔が「ファミコンとかだと息を吹きかけたら直ったよね!」と、オーディエンスの笑いを誘った。初披露となった「生命のアリア」では撮影OKタイムとなり、幾多のレンズが向けられた。漏らすことなく一つひとつに視線を送る彼らに、ファンへの多大な愛を感じずにはいられない。つづけて、鈴華の立つステージが天井近くまでリフトアップするという華やかな演出と共に「月下美人」をしっとりと歌い上げ、前半を締め括った。
関連記事
-
-
天才コント師、最強ツッコミ…芸人たちが“究極の問い”に答える「理想の相方とは?」<『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』特集>
Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』:PR -
「みんなで歌うとは?」大西亜玖璃と林鼓子が考える『ニジガク』のテーマと、『完結編 第1章』を観て感じたこと
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
「まさか自分がその一員になるなんて」鬼頭明里と田中ちえ美が明かす『ラブライブ!シリーズ』への憧れと、ニジガク『完結編』への今の想い
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
歌い手・吉乃が“否定”したかった言葉、「主導権は私にある」と語る理由
吉乃「ODD NUMBER」「なに笑ろとんねん」:PR