岩田剛典論──精霊のような冷ややかさと、動物的凝視。その優雅な融合が岩田剛典である。


『バスカヴィル家の犬』で見せたドラマとは異なる魅力

『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』予告

『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』は、ドラマ『シャーロック』(フジテレビ)の映画進出バージョンだが、コナン・ドイルの原作から自由に発想していたテレビシリーズとは異なり、名探偵シャーロック・ホームズが活躍する小説群の中でも最高傑作と言われながら、最もイレギュラーな形式でもある『バスカヴィル家の犬』から出発している。

この小説は、ホームズとワトソンの二人三脚ではなくワトソンの冒険を描いている。だから、今回の映画では、少なくとも前半は、若宮=ワトソン(岩田剛典)の単独行動であり、獅子雄=ホームズ(ディーン・フジオカ)は遠くから見守るリモート相棒なのだ。

若宮潤一に扮する岩田剛典と、誉獅子雄を演じるディーン・フジオカ

このことが、連ドラとは異なる作品風情を醸し出しているだけではなく、バディがソロになったときの本質を垣間見せて実に興味深い。

ドラマ『シャーロック』では、その高い演技技術力で、ディーンとの呼吸を華麗にクリエイトしていた岩田は、映画『バスカヴィル家の犬』においては、【山の上のお屋敷】という舞台設定を得て、精霊的なキュートさと、動物的な純粋好奇心を全面的に発揮して、ぐいぐい事件の謎に飛び込んでいく。

『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』より

前述したような冷ややかさや、獰猛さは、ここにはない。だが、人間ならざる愛らしさが充満している。

ラストでは、誰もが予想できなったことが起きる。それをここで記すわけにはいかない。

だが、この俳優を見つめてきた者なら、きっと呟くことだろう。

岩田剛典はやはり大自然と相性がいいのだ、と。

【関連】連載「告白的男優論」

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  • 『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』 (c)2022「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」製作委員会

    『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』

    2022年6月17日(金)全国東宝系にて公開
    監督:西谷弘
    脚本:東山狭
    原案:アーサー・コナン・ドイル「バスカヴィル家の犬」
    出演:ディーン・フジオカ、岩田剛典、新木優子、広末涼子、村上虹郎、渋川清彦、西村まさ彦、山田真歩、佐々木蔵之介、小泉孝太郎、稲森いずみ、椎名桔平
    配給:東宝
    (c)2022「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」製作委員会

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