“居候のプロ”タモリも驚くトリプルファイヤー吉田の「新時代の居候生活」(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。


『タモリ倶楽部』

11年もの間、居候生活をしていたトリプルファイヤー吉田の居候生活卒業を「居候のプロ」であるタモリが見守る。「居候界の新旧2大スター」であるタモリと吉田がそろい踏み。進行は宇多丸。

まず「トリプルファイヤー吉田 居候大年表」を見ながら居候生活を振り返り。この年表がバカバカしくていい。

彼が居候を始めたのは2011年、23歳のころ。バイト先で出会った「先輩」がパチンコ中に発した「俺ん家住んでいいよ」という言葉を思い出し、就職が決まらないまま借金50万を抱えて大学卒業したころに“3カ月”という約束で居候生活に突入。

「先輩」の実家は、敷地内に親が住む家と吉田が住むことになる家が2軒ある、かなり広めの家。しかも高田馬場駅から徒歩15分という好立地。

当初、6畳の和室を使っていたが、やがてキッチン+リビングの14畳の部屋まで占拠。かなり散らかしている。2階には同居人が。

「いつのまにか10年経ってたなって。引っ越してくる前のほうが曲作ったりしてたな」「すごいダラダラしちゃうっていうのが、風水とかあんのかな」「この家の風水が悪いといったら……僕が言う立場ではないですけど」と、ヒドい責任転嫁。自堕落な生活っぷりに宇多丸が明らかにイライラしているのが可笑しい。

「この家の吉田の行動範囲の中に、まともに動いているものがひとつもなかった」というマネージャーの証言が、吉田の生活すべてを表しているような気がした。

タモリは以前、居候の秘訣を「卑屈になるな」「こいつはもしかしたらすごい奴なのかもしれないと家の人に思わせる」と語っていたが、飄々と悪気をまったく感じていないところは、微妙にタイプは違うものの通ずるところがありそう。

「自分はなんだろう?とか、どうなりたいんだろう?とか焦ってくると思うんだけど、焦る様子がないのがある意味スゴい」と、タモリが経験者らしく評す(と同時にタモリも居候中そんなふうに思っていた時期があったのかと少し驚く)と、吉田「焦った時期もあったんですけど、乗り越えてきました(笑)」。

そして2022年3月、ついに引っ越し当日。番組で密着するとまさかの準備ゼロ。服の持ち運びも物干しハンガーにかけたまま持って行こうとしたり、中身が入ったまま冷蔵庫を運ぼうとしたりする始末。

まだ期限があるため大量の荷物を残したまま。なんとギターも「ボーカルなんで」とあと回しというずさんさ。いかにも吉田らしくておもしろい。

気になるのは、なぜ引っ越すのか。その理由は「彼女が引っ越そうと勧めてくれたから」という身も蓋もないもの。付き合って2カ月の彼女と共同生活をするそう。

「彼女いない雰囲気だよな」と驚くタモリに「彼女……けっこういましたね」と誤解を受けかねない答え。しかも、吉田のあとには吉田の同級生が入居予定だという。

彼女と別れたらどうするのかを問われ「別れたら、友達に出て行ってもらって、元の家に戻ろうかな」と吉田。これにはタモリも唖然とし「これは俺とまったく違う居候のかたち!」。

『かりそめ天国』

映画を観ても「おもしろかった」「最後よかった」のような感想しか言えないという有吉。だから『アメトーーク!』のような好きなものを語る企画に出演できないそう。どこに感動したかを言えないと。

確かに『アメトーーク!』の「○○好き芸人」に有吉が出たところを観た記憶がない。マツコ「あたしもないわ。分析的なやつでしょ? 感情論しか言えない」。

逆に言える人はすごいという話になり「渡部さんとか」と久々に名前を出し「あ、(復帰)おめでとうございます!」と頭を下げる有吉。

自分の感想が「おいしいです」のひと言だけだと「俺、高倉健かよ」と反省するという有吉に、「でもちょっとさ、高倉健は言い過ぎじゃない気がする」「芸人界で誰が高倉健寄りかってなったら、有吉さん」とマツコが言うと、有吉「いい加減にしてくれよ! 俺を小さく見せるなよ! (高倉健と比べたら)小さく見えるだろ、俺が!(笑)」。

【関連】タモリ「今のテレビ、全部説明するからつまらない」


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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