『タモリ倶楽部』で語られた芸人の住居事情「明大前より西に売れてない芸人が住む傾向」(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

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『タモリ倶楽部』

東中野から出たいと思っている納言・薄幸のため、自分が住んでいる街をプレゼンするという企画に、錦鯉、トム・ブラウン。進行のカンニング竹山曰く「コアターゲットを無視した」メンバー。解説役も、芸人になる前に最大手の不動産会社で首都圏1位の営業成績を収め、宅建資格を持つ不動産芸人・世良光治という、この番組には珍しい芸人ばかりが多数出演する回。

空気階段やマヂカルラブリーの活躍で「高円寺=芸人の街」と脚光を浴びているが、最新版の芸人が住みやすい街を探ろうという企画趣旨に「実は私、この世界を目指して再度上京して最初に住んだのは高円寺。『高円寺芸人』は私が最初」と明かすタモリ。それは初耳だ!って思ったけど、自分が過去に書いた「大タモリ年表」に「この居候生活は高円寺に新居を構えるまでの、9カ月間あまり続く」ってちゃんと書いてた。初耳じゃなかった。

一般的な家探しの条件は家賃、駅からの距離、治安などだが、芸人の場合は、家賃はもちろん、劇場へのアクセス、奢ってくれる先輩芸人のコミュニティ、小道具がそろう店の有無が大事だと解説する世良。非・吉本芸人の場合は、新宿にあるバイタスグループの劇場(ハイジアV-1、新宿バティオス、新宿バッシュ!!、新宿ブリーカー)へのアクセスが重要だという。吉本の場合は7~8割が、新宿のルミネtheよしもとや神保町よしもと漫才劇場へのアクセスがいい京王線沿線を希望するそう。明大前より西に売れてない芸人、東に売れた芸人が住む傾向があると。芸人の住居事情が語られていてとても興味深かった。

みちおは笹塚、布川は荻窪、長谷川は石神井公園、渡辺は葛西をプレゼン。幸「笹塚は飲みによく行くけど、住むところではないかな。荻窪は絶対イヤです。荻窪は惰性で住んでいる街。売れなくなりそう(笑)」。

『キョコロヒー』

キャラクターを作るときに重要な「インパクトのある一人称を考えよう」というトークテーマ。「一般的」(わたし、わたくし、あたし、うち、ぼく、わし、自分の名前、あっし)、「クセあり」(おいら、おら/オラ、おいどん、わい、俺様、オレっち、ワチキ、ミー)、「フォーマル系」(自分、吾輩、拙者、ワレ、小生、それがし、本官、麻呂)に分けた一覧表がくだらなくておもしろい。

この番組はこれまでも「決め台詞」とか「食レポフレーズ」とかの一覧表を作っているけど、こういう無駄な感じのことに労力を惜しまないのがとてもいい。ヒコロヒーは「わし」だが、ほかには大悟や藤井風がいる。「オレっち」に葛西純が入っているのがツボだった。「ミー」や「麻呂」などは誰も記載がなかったけど、前者はイヤミ、後者はおじゃる丸とかを追記したくなる。“激戦区”の「おいら」には、ビートたけし、大野智、矢口真里、ひろゆきとタイプのまったく違う4人が並ぶのがおもしろい。

ヒコロヒーと齊藤京子が共にツボにはまったのは「本官」。使用者は空欄で「(警官などが使う)」と注意書き。「じゃあ、警官以外使えないんですよ!(笑)」とヒコロヒー。ふたりで「本官」を使いながら笑い合って試しているのがとても楽しげでいい。

「THE THE FIRST BREAK」には大久保佳代子。ブレイクのきっかけを『しゃべくり007』と答える大久保。有田から「ここ数年で一番おもしろかった」と言われ、「あれ? 行けるかなこの先」と思ったそう。またワイプの比重が多くなったときに「このまま何年か行けるんじゃないか」と思ったという。「ワイプで抜かれるというのは観ている人にとっても引きがある」ということだからと。

ひとつ柱となるキャラクターを作ることが重要だと語る大久保。「私だったら『性欲が強いOL』ってだけで30代走り抜いた」「帰る場所を確保しておき、それをやりつづける、まわりが飽きてるなと思ったとしても、見て見ぬ振りしてやりつづける。それを一個持っておくとブレずにうまくいくんじゃないか」と。有名になったことでモテなくなった、一番声をかけられた時期はテレビに出始めのころだという大久保は「遊ぶならレギュラー2本まで」などと金言を連発。気をつけていることは「その場の小さい笑いのために誰かを犠牲にしない」ことだそう。「犠牲にしていいのは手島優だけ(笑)」。


明日観たい番組:『鬼滅の刃』遊郭編スタート

『THE MANZAI 2021 マスターズ』(フジ)アンタッチャブル、ウーマンラッシュアワー、海原やすよ ともこ、おぎやはぎ、かまいたち、銀シャリ、サンドウィッチマン、霜降り明星、タカアンドトシ、千鳥、テンダラー、とろサーモン、ナイツ、中川家、NON STYLE、博多華丸・大吉、爆笑問題、パンクブーブー、マヂカルラブリー、ミルクボーイ、和牛、笑い飯。

『週刊さんまとマツコ』(TBS)「おばあちゃんYouTuber(秘)パラパラ炒飯」。

『有吉ぃぃeeeee!』(テレ東)『メイド イン ワリオ』。

『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日テレ)「スマホなしで待ち合わせ」。

『鬼滅の刃』遊郭編(フジ)開始。

山崎豊子・原作、宮沢りえ、寺島しのぶ主演『女系家族』(テレ朝)第2夜。

『ボクらの時代』(フジ)浅田美代子×清水ミチコ×中園ミホ。

『おかべろ』(フジ)に磯村勇斗。


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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