昨年は全国一斉休館し、現在も営業短縮の状況がつづく映画館。映画監督の入江悠は、コロナ禍にミニシアターを応援する活動をしながら、映画『シュシュシュの娘』を制作、8月21日(土)より全国のミニシアターで上映を開始した。舞台挨拶のために全国のミニシアターを回り、地方の状況の厳しさを目の当たりにする日々。入江が今、その目で見ているリアルなコロナ禍の影響を語る。 「悲愴感はいらない」入江悠が20代の若者たちと“健康的に明るい現場で”作り上げた『シュシュシュの娘』 コロナ禍、「ミニシアター」はなぜ苦しいのか
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映画『シュシュシュの娘』
製作、脚本、監督、編集:入江悠
出演:福田沙紀、吉岡陸雄、根矢涼香、宇野祥平、金谷真由美、井浦新ほか
8月21日(土)〜渋谷ユーロスペースほかにて順次公開
地方都市・福谷市のはずれに生まれ育った鴉丸未宇(からすま・みう/福田沙紀)は市役所に勤めながら、祖父・吾郎(宇野祥平)の介護をしている25歳。平凡な日々を送っていた未宇だったが、役所の先輩の間野幸次(井浦新)の自殺によって運命ががらりと様変わる。先輩の死に関わる理不尽な“文書改ざん”の陰謀を暴くべく立ち上がる未宇。
“今までは、息をひそめて生きてきました。でも、今日からは。”これまで目立たないように生きてきた未宇の人生が花開く、痛快で爽快な88分。
文書改ざん、移民排斥……社会の闇を暴く物語は、スケールの大きい商業映画にもなり得る題材。それをあえてこじんまりしたスケール感でやりきるユーモア。ゆったりとしたスケジュールで美味しい食事を摂りながら充実した創作活動を行うこと。その道のプロと学生が入る混ざる学びと実践の場。人間が生きるための大事なスタンダードが、最近見かけない慎ましさあふれるスタンダードサイズの映画の中にぎっしり詰まっている。