「自分がプレイしておもしろいゲーム」と「バラエティ番組としておもしろくなるゲーム」の違いはなんなのか

2021.5.21

文=岐部昌幸 編集=鈴木 梢


世の中にはあまたのおもしろいゲームタイトルが存在するが、プレイして純粋におもしろいゲームと、バラエティ番組で出演者がプレイしたときにおもしろくなるゲームは、少々異なる。では、どんなポイントが重要なのか?

『ゲームセンターCX』『勇者ああああ』『よゐこのマイクラでサバイバル生活』などのゲーム番組に携わる、放送作家の岐部昌幸が「テレビ×ゲーム」を考える連載。


『ストⅡ』がバラエティ番組と相性が抜群である理由

先日、私が携わっているバラエティ番組『関ジャニ∞クロニクルF』(フジテレビ)で、関ジャニ∞の横山裕さんが『ストリートファイターII』で芸能界No.1を目指すという企画が放送されました。

1991年にアーケード用ゲームとして登場した『ストリートファイターII』通称『ストII』は、個性豊かなキャラクター、アニメーションのような滑らかな動き、コマンド入力による多彩な必殺技など、その画期的なシステムや完成度の高さで爆発的な人気となり「格闘ゲームの金字塔」とも呼ばれています。

ストⅡゲーム画面
『ストリートファイターII』で対戦中のゲーム画面

かくいう私も中学時代、群馬県民はデパートと呼んでいた大型スーパー「いせや」の2階ゲームコーナーで順番を待ち、ようやく回ってきた自分のプレイタイムで背後に並ぶヤンキーたちの異様なプレッシャーを受けながら、ティラミスが好物という謎設定のエドモンド本田を操っていたものです。

有野課長がレトロゲームのエンディングを目指す『ゲームセンターCX』(フジテレビONE)をはじめ、さまざまなゲーム番組を担当してみてわかったことは、「自分がプレイしておもしろいゲーム」と「バラエティ番組としておもしろくなるゲーム」は違うということ。

そしてこの『ストII』は非常にテレビ放送、とりわけ不特定多数の視聴者に向けた地上波バラエティとの相性は抜群なゲームなのです(視聴率はさておき)。

放送作家らしく企画書の見出し風に、そのポイントを紹介していきましょう!

ポイント1「1画面で完結する」

対峙する格闘家が拳を交え、ダメージを受けるたびに画面上の体力ゲージが減っていく。どちらかの体力ゲージがゼロになったら「K.O.」。非常にシンプルで、必要な情報が1画面に集約されています。ゲームをやらない人でも、格闘技は観たことがあるはず。その最低限の下地で、前知識がなくてもゲーム内容をある程度、理解できるのです。

ポイント2「派手な必殺技がある」

特定のコマンドを入力すると繰り出される必殺技。最も有名な技が、リュウやケンが放つ「波動拳」です(アニメ『ドラゴンボール』の孫悟空が繰り出す「かめはめ波」をイメージしてください)。画的にも派手なうえに、「出た、必殺技!」「一気に逆転だ!」「スゲー!ガードしたぞ!」など、対決を盛り上げる「点」となることが多々。

ポイント3「短時間で決着がつく」

試合には時間制限があり、勝負がどんなに長引いても、カウントダウンがゼロになると強制終了。短い尺で決着がつき、ときにノー編集で臨場感をそのままお届けできる。ゲームを扱う面積がまだまだ小さい地上波のテレビにはありがたい仕様です。

そんな『ストII』ですが、目的というよりは手段、たとえば、ご褒美や罰ゲームをかけて対戦するシーンなどで重宝します。

今回の『クロニクルF』のように、『ストⅡ』対決をメインディッシュとしてお届けするのは、深夜ならまだしも、プライム帯においてはなかなかストイック。しかしながら、ストⅡ世代の横山さんとゲーマーとして名高いゲストの野田クリスタルさんの画面からあふれる圧倒的な熱量が、ゲームには詳しくない視聴者をもグッと引き込んだのではないかと、視聴率には目を伏せつつ、勝手に感じています。

ゲームとしてはおもしろいけど見せ方が難しいゲーム


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岐部昌幸

(きべ・まさゆき)1977年10月9日生まれ。群馬県太田市出身。放送作家としてバラエティ番組をはじめ、『ゲームセンターCX』『勇者ああああ』『よゐこのマイクラでサバイバル生活』などのゲーム番組や、ゲーム原作のアニメ脚本などを手がける。

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