ラパス上空を走る「ロープウェイ10路線」
横からのアングルを捉えたロープウェイ路線図は高低差を表現でき、そのダイナミックさをじゅうぶんに伝えることができる。これは鉄道路線の路線図ではなかなかできないことだ(湘南モノレールなどの例外もあるけど)。
横のアングルがダイナミックさを伝えるなら、「YOKOHAMA AIR CABIN」のような俯瞰のアングルは、やはり「情報」に特化する方向にある。
たとえば岐阜県の「新穂高ロープウェイ」は、パステルカラーの色使いの中にホテルや露天風呂の情報を織り込む。
さらに旅情を醸し出すのが、京都の「叡山ケーブル・ロープウェイ」。まさに”はんなり”としたタッチに、もみじやつつじで季節感も演出。肝心のケーブルカーやロープウェイは、斜めから角度をつけて立体的に見せる芸の細かさにも注目したい。
緊急事態宣言の真っただ中、旅に出るのもはばかられるこのご時世である。まさに”旅の乗り物”であるロープウェイの路線図で、遠くの地に思いを馳せるのも悪くない。
最後に、さらに遠くの地のロープウェイに思いを馳せよう。こちらは旅の乗り物ではなく”市民の足”。ボリビアの首都ラパスを走るロープウェイ「Mi Teleférico(ミ・テレフェリコ)」だ。
3600メートルの高地にあるラパスは、すり鉢状の盆地に街が広がっている。道が狭く急勾配で、かつては交通渋滞が絶えなかった。そこで登場したのがロープウェイだった。
ラパス市内には現在10路線のロープウェイが運行しており、市民の交通手段として、さらに観光スポットとして機能している。
その路線図もカラフルだ。10の路線は直線的で、地図と重ねると地形や街並みを縦横無尽に横切っているのがわかる。これぞ空中を移動する強み。
これだけのロープウェイが、スイスイと空を進む様子は壮観だろうな……と、ステイホームの部屋から地球の裏側の空を想像してしまう。ちなみにMi Teleféricoとは「私のロープウェイ」という意味だそうだ。
関連記事
-
-
政治家に学ぶ“絶対に謝りたくない”ときの言い回し。奇妙な「政界語」が生まれるワケとは?
イアン・アーシー『ニッポン政界語読本』(太郎次郎社エディタス):PR -