涙が出るほど旅に出かけたいときは「ロープウェイ路線図」に限る。路線図の中に高原がある、山がある、あ、海も見えた

2021.1.21
路線図サムネ

文=井上マサキ 編集=アライユキコ 


ロープウェイの路線図? 始まりと終わりを結ぶくらいじゃないのか? だが、路線図エバンジェリスト・井上マサキの手にかかれば、その思い込みは一変する。さて、高原に来ました、空気がきれいです。ロープウェイ路線図の世界へ出発進行。

ロープウェイの路線図は「サービス精神」の表れ

今年4月、横浜みなとみらいでロープウェイの運行が始まる。日本初の常設都市型ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマエアキャビン)」だ。

ロープウェイが運行されるのは、JR桜木町駅前と運河パークを結ぶ全長約630m。高い山を登るわけではなく、観光地同士を結ぶアクセス手段であり、ロープウェイ自体が観光スポットでもある。最高地点は高さ約40m。けっこう高い。

……で、路線図エバンジェリストとしては、このロープウェイにどんな路線図が描かれるのかが気になってしまうのだった。

「YOKOHAMA AIR CABIN」の経路(泉陽興業HPより)
「YOKOHAMA AIR CABIN」の経路(「泉陽興業」HPより)

地図ベースで描かれた路線図を見ると、運行経路のほとんどが海の上であることがわかる。周辺施設も書き込まれているので、「このへんを通るなら夜景がキレイだろうな」とか、「駅から歩けないこともないけど絶妙に遠かった横浜赤レンガ倉庫まで行きやすくなるな」とか、現地を知る人ならいろいろ想像がふくらむ。

つまり、この路線図はロープウェイそのものよりも「どこを走るか」「まわりに何があるか」といった周辺情報にウェイトがある。

だって、ロープウェイ自体は2駅しかないから。
「YOKOHAMA AIR CABIN」に限らず、多くのロープウェイはふたつの駅を結ぶ。出発したらすぐ終点の一本道。「次の駅はなんだろう」と心配する必要はない。言ってしまえば、ロープウェイは路線図がなくても支障はないのだ。

実際、日本全国のロープウェイ公式サイトを確認してみると、わざわざ路線図を用意しているところは少ない。あったとしても、「伊豆の国パノラマパーク」のロープウェイのように最小限のもの。

「伊豆の国パノラマパーク」HPより
「伊豆の国パノラマパーク」HPより

山麓を出発して山頂に着く。こんなにわかりやすいこともない。情報としてはこれでじゅうぶんだろう。

だがうれしいことに、世の中にはもっとサービス精神旺盛なロープウェイ路線図も存在する。
そう、これ以上はもはや”サービス”なのだ。求められている以上の仕事をしてくれている、そんなありがたい気持ちで拝見したい。たとえば「箱根ロープウェイ」。

「箱根ロープウェイ」HPより
「箱根ロープウェイ」HPより

箱根ロープウェイは2本のロープウェイと4つの駅で成り立っている。乗り換え駅であり、乗降客の多くが目的地とする大涌谷駅はひときわ大きな赤い丸。バックには富士山があり、それぞれの駅の標高も明記。全体的にポップなタッチで、芦ノ湖に浮かぶ箱根海賊船もかわいい。

箱根ロープウェイと同様に、ロープウェイを横のアングルから捉える路線図はいくつかある。札幌の「もいわ山ロープウェイ」もそのひとつ。

「もいわ山ロープウェイ」HPより
「もいわ山ロープウェイ」HPより

山麓駅から中腹駅まではロープウェイ、中腹駅から山頂駅まではミニケーブルカーの2段構え。山を登る自動車と人物は単なるワンポイントイラストに思えるが、実は「車で行けるのは中腹駅まで。そこから先は徒歩のみ」という事実を伝えている。引き算の表現にしびれる。

さらにしびれるのは、ロープウェイの仕組みそのものから教えてくれる兵庫県の「城崎温泉ロープウェイ」。

「城崎温泉ロープウェイ」HPより
「城崎温泉ロープウェイ」HPより

「水平長」と「傾斜長」を区別する細やかさ、途中の鉄塔についても教えてくれるホスピタリティ。WEBサイトには実際の機械室やワイヤーロープの写真もあり、「男の子ってこういうの好きなんでしょ?」と微笑まれているよう。

ラパス上空を走る「ロープウェイ10路線」


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