2020年に活躍したラジオパーソナリティは?「準備と手間」「ラジオが好きな人のラジオ」「企画」の観点から迫る
今回は2020年にスタートしたラジオ番組を中心に「手間と準備」「ラジオが好きな人のラジオ」「企画」の3つの観点から迫ってみた。
<2020年に活躍したラジオパーソナリティは?>
・“準備の人”、乃木坂46山崎怜奈
・じっくり、しっかりとラジオに向き合うパンサー向井慧
・今年始まった新番組パーソナリティ、ラジオ好きの活躍
・「企画」が光る番組の、一風変わったラジオパーソナリティたち
“準備の人”、乃木坂46山崎怜奈
ラジオ、とりわけ生放送の番組は思いのほか、準備に時間がかかる。しゃべっていて「あれ、なんだっけ?」ということがないよう、あらゆる展開を想定してあらかじめ下調べをしておかないといけないからだ。
人間は本能的に「あることを成し遂げるために、その人がどれほどの手間をかけているか」を察する能力が備わっていると言われている。「これ、準備にかなり手間がかかっているぞ」と思った瞬間に、手間をかけている人(ラジオの場合は番組やパーソナリティ)が好きになるものだ。しかも、ラジオが好きな人ほど準備に時間をかける傾向が見られる。
まずは、2020年に始まった番組を中心に「準備と手間」の観点から紹介する。
乃木坂46の山崎怜奈はまさに“準備の人”である。TOKYO FMで10月に始まった『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(月曜〜木曜 13時〜14時55分)は週に4日、2時間弱の生放送だ。
山崎は4月に慶應義塾大学を卒業したばかりの23歳。ラジオが大好きで小学生のころから聴いており、高校3年生のときからラジコプレミアムで各地の番組を聴いているという。週4の午後のワイド番組を23歳の現役アイドルがひとりで担当している点にも驚きだが、特筆すべきは山崎の準備力である。山崎はリサーチの手を抜かない。登場したゲストが「なんでそんなことまで知ってるんですか」と驚くほどだ。
聞くところによるとゲストが著名人の場合はインタビュー記事や著書、はたまた出演しているラジオ番組を片っ端からチェックするとのこと。伊集院光とは「ひとりでしゃべることの意義」「心に孤独を飼うこと」について語り、ファーストサマーウイカとは「芸能界で生き残る戦略」などを話した。しかし、加藤浩次が出演した際には熱心にリサーチしたという山崎に対して加藤が「もっと力を抜いたら? あまり調べすぎると先入観が出てしまうよ」と諭す場面もあった。
ラジオが好きな山崎にとってラジオのレギュラーは宝物のようなもので、これまでにさまざまなニュースを扱う『金つぶ』(bayfm)のアシスタントを今秋まで3年半務めてきたほか、CBCラジオでは『山崎怜奈の推しの1コマ』(木曜 22時50分ごろ〜23時ごろ『チュウモリ「推シマシ」』内で放送)を放送しており、早口で近況を話したりメールを読んだりしている。
番組開始が決まったときは、念願の冠ラジオ番組が始まるうれしさに、自身のSHOWROOMでみっちりと番組の宣伝をしていた。自分が出演する番組、およびテレビ番組に出演するときはファンやリスナーを巻き込んで全力で盛り上げる。それは山里亮太(南海キャンディーズ)が『JUNK 山里亮太の不毛な議論』(TBSラジオ 水曜 25時〜27時)をはじめ、自分が出演する番組に関して必ずSNSでお知らせしている姿を彷彿とさせる。ラジオが好きな山崎はラジオの流儀を知っているのだ。
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