与党支持者vs野党支持者の“代理戦争”となった米大統領選。日本のトランプ支持者の心理とは(中川淳一郎)

2020.11.24
中川淳一郎ジャーナル1124

11月3日に投票が行われた米大統領選では、史上最多の得票数を得た民主党のジョー・バイデンが勝者となった。日本でも米大統領選への注目度は高く、トランプ支持派とバイデン支持派はネット上で激しく対立、真偽不明の情報も含めさまざまな言説が今も飛び交っている。

なぜ、日本の国政選挙でもないのに、両派の間で激しい対立が生まれているのか? ネットニュース編集者の中川淳一郎は、本選挙を「『与党支持者vs野党支持者』の代理戦争」と表現し、日本のトランプ支持者たちの心理を分析した。


なぜ多い?日本のトランプ支持者

今回の米大統領選は史上稀に見るヘンテコリンな選挙だった。トランプ氏とバイデン氏の噛み合わない討論会やら、トランプ氏の往生際の悪さが目立ったり支持者同士が罵詈雑言を浴びせて乱闘が発生するなど「さすがは民主主義の先輩国ですね(棒)」という感じだった。

しかし「稀に見るヘンテコリン」はアメリカの状況を言っているのではなく、日本のネット上での動きである。完全にトランプvsバイデンは「日本の与党支持者vs野党支持者」の代理戦争の如き状況になっていたのだ。

特にトランプ支持派(日本の与党支持派)が、トランプ氏にとって都合のよい情報をツイートしまくり、5ちゃんねるにもそのことを書いた。今でも、トランプ氏が主張するように全米各地で不正があったとする陰謀論めいたものを嬉々として紹介する者もいる。いわゆる「識者」と呼ばれる人であっても「本物の投票用紙にはGPSがついているが、中国で作ったバイデン氏に投票する偽装投票用紙が押収された」といった論を述べるなどした。

トランプは本当に日本の味方だったのか

とにかく、過去に見たことがないほど日本の「保守」というか「リベラル&中韓嫌い」な方々がトランプ氏を応援し、バイデン氏の不正選挙疑惑に乗っかったのだ。いったいなんでこんなことになったのかの理由を考えたのだが、大きく分けて以下のふたつがあるだろう。

【1】トランプ氏が米大統領であれば、中国と韓国に厳しい姿勢でヤツらをいじめてくれるはずだ!

【2】我らが安倍晋三前首相と仲のよかったトランプ氏であれば、日本を中韓よりも優遇してくれるはずだ!

だが、実際問題として、トランプ氏が日本を優遇したとは思えない。同氏は「アメリカファースト」の考え方で、とにかくアメリカの支出を減らし、諸外国にアメリカ製品を買わせることを考えているだけである。まったく「日本に好意的」な人物ではないのである。そして、中国の悪口を言いまくり新型コロナを「チャイナウイルス」などと呼んだことは、国内の支持者に「中国憎し!」の考えを押しつけるとともに、自らの政治的リーダーシップの不足を中国に押しつけただけである。

中国政府 トランプ氏の「中国ウイルス」に抗議(20/03/18)

もちろん、トランプ政権下でアメリカが戦争を仕掛けなかったことや、さまざまな国とイスラエルの関係を改善させたことなど成果はあるものの、少なくとも日本にとってトランプ氏は特にありがたい存在ではなかったというのが筆者のこの約4年間の見立てである。

結局、日本とトランプ氏の「良好な関係」というのは、安倍氏とトランプ氏が一緒にゴルフをしたり、六本木の炉端焼き屋へ行ったことぐらいしか思い出せないのではなかろうか。さんざん保守系メディアが「トランプ氏は首相在任経験の長い安倍氏を頼った」などと報じたものだから、「トランプと安倍ちゃんの絆はホンモノだ! 安倍ちゃんの後継の菅氏も同様に扱ってくれるはずだ!」となった。それが今回の「反中韓・反野党」の皆様方によるトランプ氏への過度な肩入れにつながったとネットウォッチ歴26年の私は見ている。

だからこそトランプ氏への過度な支持が集まり、トランプ支持者の日本人がBLM運動まで否定する流れがネットではできたが、ちょっと待て待て。以下の記事は読んだほうがいい

中国VSトランプの構図は本物か

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中川淳一郎

(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者。1973年東京都出身。1997年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)配属。2001年退社。以後無職、ライター、雑誌編集者などを経て現在はウェブメディア中心の編集者に。ひたすらネット上の珍騒動や事件を毎日テキストファイルに記録する生活を長年つづけている。

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