コロナ感染のヤラセ疑惑も浮上!?米大統領選挙を前に激化する“トランプ劇場”の行方

2020.10.9

文=粉川哲夫 編集=森田真規


11月3日のアメリカ大統領選挙に向けて、さまざまなニュースが日々届いている。そんななか、日本でも大きく報じられたのがトランプ大統領の新型コロナウイルス感染だ。

だけどアメリカでは『BBC News』や『USA TODAY』などの大手メディアをはじめ、ツイッターなどでの個人的見解も含め、コロナ感染そのものがヤラセだという噂が広まっている。その真偽のほどはここで確かめる術はないが、10月2日に開幕した“トランプ劇場”の演出と上演という観点で評価するとどうなるのか。

『メディアの牢獄』(1982年)や『もしインターネットが世界を変えるとしたら』(1996年)などの著書を持つメディア論の先駆者として知られるメディア批評家の粉川哲夫が、さまざまな情報を取り入れつつ、“トランプ劇場”の“コロナ感染篇”をウォッチした。

二番煎じの印象が拭えない

トランプのコロナ感染に関しては、不可解な部分が多過ぎる。海外の知り合いたちに疑問点を投げてみたが、確かな答えは得られなかった。それを直接法で記述するのは不可能なので、H(ニューヨーク)、S(リスボン)とT(私)との鼎談形式にまとめてみた。残念ながら私にはトランプ主義者の知り合いはおらず、親トランプ派の意見は組み込めなかった。

T トランプのコロナ感染に関しては、ヤラセという意見もあるけど。

H 私は、最初からヤラセだと思っていた。Covid-19に感染して3日で回復し、翌日には2時間に40回もツイートするなんてことができるわけない。6日の『ワシントン・ポスト』でダニエル・ドレズナーが、“The Toddler in Chief”(ガキ大統領)と言っているね。我々は、ガキに振り回されているんだ。

S ヨーロッパではもっとひどいのがいるから、驚かないが、『BBC News』(“False coronavirus claims and rumours about Trump”)や『USA TODAY』(“Fact check: Claim that Trump’s positive COVID-19 test result is a ‘con’ has no basis in fact”)などあちこちで、ヤラセの噂が広まっている話は読んだ。しかし、トランプは大統領政治を、プロレスやバーレスクのような大衆的なショービジネスのやり方で運用しようとしているのだから、ヤラセや演出やフェイクは当たり前じゃないの。今回の問題も、彼のショービジネスの演出や効果のレベルの問題として捉えたほうがいいと思う。

T なるほど、ヤラセは前提なんだ。じゃあ、10月2日のトランプのツイートから開幕した“トランプ劇場”の“コロナ感染篇”は、演出と上演の点でどのような問題を孕んでいる?

H まず、10月2日という開催日が、タイミングがよすぎる。9月28日、ジョー・バイデンとの第1回「ディベート」の前日に、『ニューヨーク・タイムズ』が彼の税金逃れをすっぱ抜いたというのもタイミングがよすぎるが、「ディベート」では、終始相手の発言を妨害しつづけるという醜態――プロレスでは当たり前だが、相手が違う――を演じたり、追い詰められていた矢先だからね。

S まず頭に浮かんだのがブラジルの大統領ジャイール・ボルソナーロだ。感染を利用して人気を回復したいい例だ。トランプを崇拝している彼は、7月にCovid-19に罹ったが、トランプがかねがね推奨する抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を服用して、2週間後には現場に復帰したという。ただし、ボルソナーロは、銃撃され瀕死の重症を負ったり、トランプとは桁違いの修羅場をくぐってきた男だから、本当にCovid-19を2週間で克服したのかもしれない。

いずれにしても、彼はこれで「男の中の男」として支持率を高める結果となった。トランプは、ボルソナーロにならって、いいところで復帰し、選挙前に新たなコロナ対抗薬やワクチンを発表して、コロナなんか流感と変わりないと宣言するんだろう。まあ、しかし、二番煎じの印象は拭えないな。

焦るトランプ


粉川哲夫_プロフィールph

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