説明責任をスルーする菅政権が生み出す推測ゲーム。「動員」の時代から次のフェーズへ

2020.11.10

文=TVOD 編集=森田真規


2020年1月、20年代の始まりに『ポスト・サブカル焼け跡派』という書籍を上梓した1984年生まれのふたり組のテキストユニット、TVOD。同ユニットのパンス氏とコメカ氏のふたりが、前月に話題になった出来事を振り返る時事対談の連載が今月からスタート。

初回で扱うテーマは、菅政権とNetflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』から考える“虚構”や“物語”の話。そろそろ終わりが見えてきた2020年のうちに振り返っておきたい、2010年代について考えるヒントにもなるはずです。


なぜ「いろいろと予測しながら」議論しないといけない構造に?

パンス こんにちは。TVODパンスです。今回QJWebより、毎月初めに、前の月に起こった出来事について触れていく時評的な連載の依頼をいただきました。ちょうど日本の長期政権が終わったというタイミングで、前政権が抱えていた問題に加えて、新たなややこしいニュースが噴出しています。そんななかで自分たちもこれまでやってきた議論を仕切り直し、さらに展開させていきたいと思っていたので、とてもありがたいです。
現在は、ワッと盛り上がった問題がどんどん忘れ去られていく状態が加速しつづけている時代。そこで毎月、出来事に楔を打っていくみたいな作業ができたらな~と考えています。

コメカ TVODコメカです。安倍政権が一応は終焉を迎え、そして2020年がそろそろ終わる、みたいなタイミングですけども……。最近特に考えているのは、ここ10年、つまり2010年代の動きというか、スマートフォンやWi-Fiの普及も含めたインターネットの完全インフラ化、そしてそれを基盤とした各種SNSの浸透から生まれていた状況が、色々転機を迎えつつあるな~ってことで。
この連載でも、社会や文化にまつわる月評的なことをやりながらそのあたりについて考えていきたいなと思ってるんだけど。

パンス とりあえず10月に盛り上がっていたのは、菅政権になってさっそく報道された日本学術会議に関する問題でした。ある程度時間が経った現在自分が考えていることを述べておくと、そもそもまずは官邸がいきなりカマしてきたのが端緒なんだけど、そのあとは受け取る側が、ろくに情報を出さない官邸の意図を「いろいろと予測しながら」議論しないといけない構造にさせられているのが気になるんですね。
反対側は「学問の自由」を唱えているわけだけど、それに対抗する賛成側はデマを含めた不確かな情報をバンバン出してくるので、いちいち修正しないといけないし、ひたすら平行線になっている。

日本学術会議 任命拒否と「学問の自由」 【報道特集】

コメカ 反対側も賛成側も、「官邸にはこういう意図があるんじゃないか」という推測をベースに話をする状況になっている、というね。だって説明しないからね、政府が(笑)。国民に対する説明責任があるという当たり前の前提を、菅政権は何食わぬ顔でスルーしようとしている。
で、ちょっと話をズラすと、SNS環境……というか具体的に言うとツイッターではさ、こういう推測行為そのものがひとつのゲームプレイみたいな作業になっちゃってると思うんだよね。「きっと実際にはこういうことが起こっているはずだ」「きっとあの人間はこういう内心を抱えているはずだ」みたいな内容の発信と受信そのものがゲーム化していて、それを通してコミュニケーションや「物語」が乱立している。で、そういう類のゲームを通して人々を動員していくのが、2010年代の作法だったと思うんだよね。

可視化への欲望を高めつづけるツイッターの影響

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コメカ(早春書店)とパンスによるテキストユニット。サブカルチャーや社会についての批評活動を、さまざまなメディアで展開中。2020年1月に発売したTVODとしての単著『ポスト・サブカル 焼け跡派』(百万年書房)では、70年代以降のさまざまなミュージシャンやアーティストを、「キャラクター」としての角度か..

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