音声コンテンツの収益化はどうなっていく?石井玄×小御門優一郎 対談【後編】

2022.8.3
石井玄、小御門優一郎

文・編集=鈴木 梢 撮影=長野竜成


2022年3月に上演された、オールナイトニッポン55周年記念公演『あの夜を覚えてる』(通称、『あの夜』)。その脚本・演出を手がけたノーミーツの小御門優一郎と、ニッポン放送側のプロデューサーを務めた石井玄が最近、ポッドキャスト番組『滔々あの夜咄(とうとうあのよばなし)』をスタートした。

ラジオ番組のディレクターを長く務めてきた石井が、なぜ今、ポッドキャストに本気で取り組むのか。音声で「強いコンテンツ」とは? 『滔々あの夜咄』パーソナリティを務めるふたりの対談形式でお届けする。

石井玄×小御門優一郎 対談『あの夜を覚えてる』はこれで終わるのか?振り返りと後日談【前編】


ネタがなくても番組をおもしろくするという醍醐味

──そもそもポッドキャスト番組『滔々あの夜咄』は、なぜ石井さんと小御門さんでやることになったんですか?

石井玄
石井玄(いしい・ひかる)1986年生まれ、埼玉県出身。ラジオ番組制作会社にて『オールナイトニッポン』のチーフディレクターを経験。2020年からはニッポン放送エンターテインメント開発部のプロデューサーに

石井 僕が、ポッドキャスト番組を本気で作ってみたかったんですよ。でもポッドキャストってギャラ的に考えても、パーソナリティにあんまり負荷をかけられなくて。じゃあ自分でやれば負荷をかけられるなと思ったんです。

ディレクターとして音声コンテンツをたくさんやってきた人間が、話し手としてポッドキャストを本気でやったらどうなるんだろうと思って、ちょっと実験してみたくなったんですよね。

──番組構成を考えながら、話し手としても準備が必要で、かなりの負荷がかかっていますよね。

石井 でも、おもしろいんですよ。ディレクター視点で構造を理解しながら進められるし、しゃべりながら小御門くんのことをディレクションできるし(笑)。自分や小御門くんだけでなくスタッフ全員にかなりの負荷をかけてますけど、『あの夜』の続編を公開するまでは少なくともつづけようかなと。小御門くんはどう? 始めてみて。

小御門優一郎
小御門優一郎(こみかど・ゆういちろう)1993年生まれ。脚本家、演出家。劇団ノーミーツの公演『それでも笑えれば』では第65回岸田國士戯曲賞にノミネート。YOASOBI「三原色」の原作小説等、幅広く執筆中

小御門 前身番組だった『あの夜のはなし』のときは「今こういうものを作ってますよ」とだけ話せればよかったので、『滔々あの夜咄』で初めて自分のトーク力みたいなものと向き合ってますね。友達のTaiTan(Dos Monos)が楽しそうにポッドキャストをやっているのも見ていたので、石井さんとだったらおもしろいかなと思って気軽な気持ちで始めたんですけど、いろいろ発見があります。毎週1本エンタメ作品を紹介するコーナーとかやっていて、僕としては楽しいんですよ。何がおもしろくてどんなところがよくてみたいなことを言いたいんだけど、あんまり伝わってないぞという感覚もあったりして。石井さんが伝えることが肝要だと考えながら仕事している話もありましたけど、あの、そうですね……。

石井 伝えるの本当にヘタクソだな!!(笑)

小御門 だから今もこうして「僕って話すの下手なんだな、なんでだろうな」と省みながらやらせていただいております……。

石井 まあ、そもそもこんな本気でやるとは思ってなかったでしょ? 前身番組と同じくらいのもんだと思ってたでしょ。

小御門 はい。やっぱりしゃべるの大変じゃんって思って、思った以上に僕ってしゃべれないじゃんと思って。

石井玄

石井 できてることは一度もなかったよ! どこでその自信をつけてきたのかわかんないんだけど(笑)。

小御門 そうなんですよね。こんなにしゃべれない人間が脚本でかけ合いを書くとかいうのもちょっとお笑い種だなと思うので、ここはひとつがんばらなきゃなと思ってます。

石井 やっぱり小御門くんはノーミーツのスポークスマンというか、これからいろんな場面で広告塔になっていくだろうから、そういうときに自分が作っているものやノーミーツについて明確に話せるようにはなってもらいたいと思うんだよ。

名前が大き過ぎるけど、三谷幸喜さんとか宮藤官九郎さんみたいに、作ったものを自分で説明できたり宣伝できたりすると、きっと今後すごく楽になるんだよ。佐久間(宣行)さんしかり、クリエイターとして表に出て話せるようになれば、作品についてもっと深く伝わると思うから。

小御門優一郎

小御門 そういうことだったのか……。

石井 僕としても、しゃべれない人をどうするか、実験としてやっているところはある。ディレクター時代にも同じようなことをやっていたけど、芸人さんやアーティストさんみたいにもともとある程度表に出てしゃべる場面がある人たちで、しゃべる努力もされてきた方々だったから。

小御門くんって、おもしろい話自体はしてるのよ。合コン行った話(#5 市井調査)とか、財布なくした話(#4 北辰テスト)とか。大ネタとしてはおもしろいから、そういうのがないときほど大変だと思う。前に(藤井)青銅さんが「毎週おもしろいネタを持ってこられる人なんていないから、ないときにどうやって(番組を)作るのかが重要だ」って話をしていたんだけど、そのとおりで、しゃべるネタがないときにどうおもしろくするかが醍醐味だから。

小御門 ついにこの前、「あれ? 今の話、どこがおもしろかったんだ?」と自分の話に対して自分で思いましたからね。

石井 ポッドキャストだと編集できるから、小御門くんが言い淀んでるところとか、どうでもいい話してるところとかはカットしてるもんね。「#11 カンフーとちゃお」の回なんか、小御門くんが話してるはずなのに、途中から僕がしゃべり出して、僕のトークになって終わってるから(笑)。だいぶ小御門くんの話もあったけど、ディレクターによってカットに。

聞き手の想像力を掻き立てる余白に生まれるおもしろさ


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鈴木 梢

(すずき・こずえ)1989年、千葉県市川市生まれ。出版社や編集プロダクション勤務を経て2019年からフリーランスに。主に日本のエンタメ/カルチャー分野の企画・執筆・編集を行う。もちもちしたものが好き。

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