ニッポン放送・石井玄×GERA恩田貴大が考える、愛される音声メディアに必要な「巻き込み力」

2021.7.28
石井玄×恩田貴大

文=松本紋芽 撮影=長野竜成 編集=鈴木 梢


お笑い芸人による音声コンテンツが楽しめるラジオアプリGERA(ゲラ)が2020年4月7日にリリースされて、1年以上が経過した。GERAのプロダクトオーナー恩田貴大が、ラジオ業界の先輩であるニッポン放送エンターテインメント開発部のプロデューサー・石井玄に、GERAの今後と音声コンテンツの未来について相談する対談。

後編の今回は、番組を終わらせないためにファンやパーソナリティを巻き込んでできる取り組みを、石井が過去の経験を振り返りながら解説する。


グッズはパーソナリティ本人たちが愛せないと意味がない

恩田 番組グッズはどうやって作ってますか? 石井さんが企画されているグッズは、ついつい買いたくなるものが多いと思いまして。

石井玄
石井玄(いしい・ひかる)1986年生まれ。埼玉県出身。ラジオ番組企画制作会社・ミックスゾーンにてオールナイトニッポンのチーフディレクターを経験。2020年からはニッポン放送エンターテインメント開発部のプロデューサーへ

石井 グッズは僕、パーソナリティから学んだんですよ。以前、星野源さんが番組(『星野源のオールナイトニッポン』)前に打ち合わせをしている姿を見たことがあって。あとで聞いたら、ひとつのCDの特典を決めるためにじっくり話し合ってた。

オードリーさんも、ライブグッズひとつでも確認に入ってくれるし、スタッフとオードリーさんで話したときも細部まで気にしてくれていたから、みんなこだわってくれるんだなと感じて。この「自分たちが作った」って感覚は、番組にも出るからすごく大事なことなんだよね。

恩田 『オードリーのオールナイトニッポン』のラスタカラーのグッズも、『春日語カレンダー』とかも、番組で話されているものはつい買っちゃいますよね。

石井 ああいうのはご本人たちがおもしろくしてくれてるから、タネだけ渡してる感じだね。

恩田 やっぱりタネはしっかり渡すんですね。

石井 作る段階からパーソナリティにも「グッズを作りたいんです」って話をして、一緒に作っていく。番組スタッフとパーソナリティがおもしろがってくれるものが一番いいから。

恩田 確かにそうですね。

石井 スタッフ主導でグッズが売れたとしても、番組のパーソナリティをやっている本人たちがグッズに興味ないと、特段意味がなくなっちゃう気がして。ただ金儲けをしてるだけっていうか。リスナーが「これ欲しい、おもしろい」って思ったら番組にプラスだし、リスナーもうれしい。みんなが満足できるものを作るために、パーソナリティもリスナーも巻き込んでみんなで作ったほうがいい。

恩田 確かに……。

石井 今はさらに、そのグッズをネット、SNSでどう広げていくかみたいな実験もしてる。

恩田 パーソナリティやリスナーによって、広め方とかグッズの刺さり方も違いますか?

石井 たとえば菅田将暉さんがリスナーと一緒に作ったパーカーであれば、菅田さんも番組(『菅田将暉のオールナイトニッポン』)の中でグッズのよさを話してくれるし、菅田さんが着たらカッコいいから、SNSにその写真を載せるだけでじゅうぶん。リスナーだけじゃなく、ファンの女の子や、菅田さんに憧れている男の子まで買ってくれたりする。最終的に、番組を聴いてるはずのない中国のファンの方も買ってくれて。

でも逆に、佐久間さんのときは微妙だった。普通のおじさんが「これカッコいいでしょ」みたいな感じで着てても、あんまり売れない(笑)。「あー、これいいね」ってちょっと俯瞰で言ってもらったほうがよかったりする。っていうことを、本人に着せて写真撮ってSNSに載せたあとに気づくっていう(笑)。

ファンクラブは、番組を終わらせないための気持ちの表れ

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松本紋芽

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松本紋芽

(まつもと・あやめ)編集者、ライター。出版社勤務ののち、WEB編集者として女性向け健康・美容メディアを運営。2019年からはtoBサービスのマーケティングをする傍ら、書籍の校正や、ビジネス系メディア、「暮らし」をテーマにした媒体を中心にライターとしても活動。

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