火曜深夜に響く星野源の「バカじゃないの!」ANNで前代未聞の珍事が発生中

2020.3.24
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トップ画像=『星野源のオールナイトニッポン』公式ホームページより
文=村上謙三久 編集=森田真規


2020年3月で4周年を迎えた『星野源のオールナイトニッポン(以下:星野源ANN)』。この番組で今、50年超の歴史を誇る『オールナイトニッポン』でも前代未聞の珍事が起こっている。

「箱番組」と呼ばれる“番組内番組”が3つもレギュラー化しているのだ。しかもパーソナリティを務めるのは番組の裏方たち。この番組に「バカじゃないの!」と星野源が爆笑する――そんな時間こそを私たちは今、必要としているのかもしれない。


『オールナイトニッポン』の歴史の中でも前代未聞の珍事

火曜日の深夜、ラジオから聞こえてくる星野源の笑い声がたまらなく好きだ。特に耳に残るのは、笑いがマックスに達したとき、ネタメールを送ってきたリスナーに誉め言葉として贈られる「バカじゃないの!」。語弊を恐れずに言えば、もはやラジオを聴いていて「バカじゃないの!」待ちになっている。本人から「バカじゃないの!」と言われたいがゆえに、投稿を始めようかと考えてしまうぐらいだ。

『星野源ANN』はこの春で4周年を迎える。番組の大きな魅力は「音楽」。たっぷりと時間を使い、星野の音楽に対するこだわりや曲に込めた思い、制作過程などが熱く語られる。アーティストがゲストに来た際のクロストークも濃厚だ。星野が自ら選んで電波に乗せられる曲たちはジャンルに縛られず幅広く、最近の深夜ラジオでは珍しくフルコーラスで流される。楽曲の終わりの部分を楽しむ新コーナー「アウトロクソやべえ!」からも星野の音楽に対する姿勢が窺える。この番組をキッカケに新しい世界に触れ、刺激を受けているリスナーは多いだろう。ここまで深く音楽について掘り下げる深夜ラジオはなかなかない。

その「音楽」に勝るとも劣らない番組の魅力が「笑い」だ。老若男女、さまざまなリスナーから送られてくるネタメール(特に下ネタ)は実にバカバカしく、それを読んで星野は本当によく笑う。リスナーに最大限の敬意を払い、温かく接しながらも、前のめりになり過ぎず、一定の距離を取るのが星野源というパーソナリティの魅力だが、笑った瞬間……特に「バカじゃないの!」言い放った瞬間は、その距離がなくなり、ラジオブースとリスナーはひとつになる。

そんな『星野源ANN』で今一番笑いを呼んでいるのは「箱番組」だろう。パーソナリティとは別のタレントが受け持つ10分間程度の“番組内番組”が「箱番組」と呼ばれる。帯番組ではよく目にするが、パーソナリティの名前が冠になるオールナイトニッポンでは縁遠い存在だ。しかも、『星野源ANN』には番組のスタッフが話し手となるという特異な箱番組が3つも存在するのだ。パーソナリティがスタッフの名前を口にしたり、トークの相手にしたりするのは深夜ラジオでよくあることだが、完全に度を越している。これは50年以上つづく『オールナイトニッポン』の歴史の中でも前代未聞の珍事だ。

しのぎを削る3つの箱番組。チーフD・石井玄も参戦決定!


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村上謙三久

(むらかみ・けんさく)編集者、ライター。1978年生まれ。プロレス、ラジオ関連を中心に活動。『声優ラジオの時間』『お笑いラジオの時間』(綜合図書)の編集長を務め、著書に『深夜のラジオっ子』(筑摩書房)、『声優ラジオ“愛”史 声優とラジオの50年』(辰巳出版)がある。

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