アルピー酒井健太「月50万が一番いい」野心なき天才、独自のキャリアと“譲れないこと”

2022.6.25


「天才」のままだったら「お笑い辞めて、川崎で就職してる」

アルピー酒井健太「月50万が一番いい」野心なき天才、独自のキャリアと“譲れないこと”
アルコ&ピース 酒井健太

──アルピーさんのラジオの特徴でもある、即興的な、コント的なやりとりを可能にしているのは、平子さんとの関係性なのか、感覚の部分なのか。

酒井 それで言ったら感覚のほうが大きいかもな。うまい距離感でいられるのも、いろんな仕事がある中、ラジオでいろんなこと言えるからかもしれないですね。普段どうしてる? なんて素ではなかなか聞けないですけど、いやこの間ねって自然としゃべれる場があるのはすごくデカい。

──コンビとしてもそうですが、酒井さんご自身のお仕事もどんどん変化していますよね。今自分に求められるものについてどのようにお考えですか。

酒井 仕事の流れで言うと、7、8年前、『オールナイトニッポン』聴いてたリスナーがTV局入って、偉くなってディクレターになったりしてるんですよ。『アルピーテイル』演出の川島(一平)君とかゴリゴリのリスナーで、絶対アルピーと仕事するんだってテレ朝入ったっていう話なんですよ。リスナーたちが成長してきてるんですよね、マジで。個人で言ったら、もうワーキャーとかどうでもいいなって思い出したっていうのもあるかもしれないです。

──(笑)。かつては求めていました?

酒井 いや、求めてはなかったですけど、どうでもいいんだなってあらためて。

──それこそおひとりでやられているラジオがきっかけでご結婚されたり。ラジオで人生変わったリスナーもいるし、酒井さんご自身もラジオによって人生が動いている。

酒井 不思議なものですよね。芸人はじめたきっかけも、ラジオ聴いてなかったらきっとやってないですし、お笑いを。ラジオにいろんなきっかけをもらってるかもしれないですね。

──TVとラジオを比べると、ラジオのほうが自分を出しやすいですか?

酒井 っていうか、楽しいですね。聴いてる人が想像できるからかなあ。月曜日は『D.C.GARAGE』の収録ですけど、やっぱ毎回背筋が伸びる感じはしますね、月曜日。

──『D.C.』の現場はリラックスというより、シャキッとして迎えるところなんですね。

酒井 一番楽しんでそうかもしれないですけど、結構いろいろそうっすね。フリートークどうしようもあるし、ああ一週間はじまったなって感じもするし。

──酒井さんも緊張しますか?

酒井 めちゃめちゃ緊張しますし、反省ばっかり。

──切り替えがうまい。

酒井 消化がいいのかもしれない。

──今、自分たちは売れてるなって思いますか。

酒井 どうだろう。その質問めちゃくちゃ難しいですね。さんまさんとか、ダウンタウンさんとか、ああいうレベルになったら売れてるって言っていいでしょうけど。でもまだ、もっといけますよ。

──もっといける。

酒井 もーっといけるんじゃないですか。収入とかじゃないですけど、もっといい感じになる気はしますけどね。もっとこう「平子さんこれ言うな」とか、テクニカルな部分ですぐにわかり合える、そういう意味でのもっといい感じですね。そうなったら売れるんじゃないですか、もっと。

──天才と呼ばれるまま今に至っていたら、どうなっていたと思いますか。

酒井 苦労して辞めてるんじゃないですか。お笑い、辞めてると思うな。就職してると思います、川崎で。

──冒頭で「野心がない」とおっしゃってましたが、この仕事をやる上で野心はあったほうがいいと思いますか。

酒井 うーん、どうかなあ。なくてもいいような気するけどなあ。野心が強すぎるやつは辞めてったりするんですよ。

酒井が唯一やめなかったこと

──最近若い芸人さんにお話伺うと「月に20万もらえてこの仕事を続けられるんだったら全然それでいいです」みたいにおっしゃる人が割といて。酒井さんはいくらもらえたらいいですか。

酒井 そうだななあ、月……贅沢っすけど、月50万一生が一番いいかもしれない(笑)。

──50万、SDGsな金額!

酒井 ほんとに50は必要なんだな、どうやったって。

──でも、その地に足ついた持続可能なマインドこそ、アルピーに今様々なメディアから声がかかってる、その要因だと思います。

酒井 平子さんは特に、変なプライドとかないんですよ。ありそうでない。好奇心があるからだと思います。俺自身は所さんみたいな存在に憧れるんですけど。

──趣味人的な。

酒井 そう趣味人。あれはあれで大変なのかな。所さんって悩むのかな。あ、ダーツ失敗したとか。

──もうちょっと西のほうに投げときゃよかったとか。

酒井 いやだな、その所さん(笑)。

──楽しそうにしてる人ほど、誰も知らない悩みはあるかもしれない。

酒井 そうっすね、俺たちは好奇心のまま、一生懸命やるだけですよね。

──好奇心旺盛ということは、飽き性でもある?

酒井 そういうところもありますね。

──ずっと続けてることありますか? これだけは譲れないっていう。

酒井 ……ブチ決めていいですか、このインタビュー。

──え?

酒井 お笑いっす。

──うわぁゴールネットが揺れた……。

酒井 Vゴール決まったね。


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Written by

西澤千央

(にしざわ・ちひろ)1976年生まれ。神奈川県出身。実家の飲み屋手伝い→ライター。『クイック・ジャパン』(太田出版)や『文春オンライン』、『GINZA』(マガジンハウス)などで執筆。ベイスターズとねこと酒が好き。

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