ジャルジャル「コントを頼りにすごいことを」フランスで大スベリして得た原動力とは

2021.11.19
ジャルジャル

文=釣木文恵 撮影=長野竜成 編集=鈴木 梢


日々コントを生み出し、新しいことにチャレンジをつづけて、コントの領域を拡大しているジャルジャルの後藤淳平と福徳秀介。今年は単独ライブ『JARUJARU TOWER 2021ージャルってんじゃねえよー』と同時進行で、ふたりで11役を演じる90分のコントシネマ『サンチョー』を作り上げた。ふたりと、単独ライブの演出および『サンチョー』の監督である倉本美津留に、ジャルジャルの今について聞いた。


単独ライブ初日に映画がクランクイン

——ジャルジャルのおふたりは昨年、コロナ禍で単独ライブが開催できなかった代わりとして長編映像(『あ・りがとうーJARUJARU TOWER 2020ー』)を作られましたよね? つづく今年は、単独ライブと平行する形で、コントシネマ『サンチョー』を撮られたそうですが。

ジャルジャル
ジャルジャル(左)後藤淳平(ごとう・じゅんぺい)1984年3月20日生まれ、大阪府出身(右)福徳秀介(ふくとく・しゅうすけ)1983年10月5日生まれ、兵庫県出身

福徳 単独ライブとこの映像作品は完全に同時進行で作り始めたので、感覚はもう一緒というか、ひとまとめのものという感じで。

後藤 もともとは、映像作品を作ろうという具体的な予定もなかったんですよ。でも大阪の単独が延期になって。「この空いた時間、映像撮るのに使えるんじゃない?」ということで、急遽単独ライブの映像バージョンの構成をみんなで考えて、撮ったという。

——急遽であんな作品ができ上がるとは……。普段の舞台やYouTubeを観ていても、この『サンチョー』でも、おふたりには「映像だから」とか「舞台だから」という区別がなさそうですね?

福徳 確かにどれも同じ感覚ですね。違いがあるとしたら、お客さんを笑わせるのが舞台で、現場にいるカメラマンさんとかスタッフさんがクスッとしてくれたらうれしいなと思いながらやってるのが映画です。映像に関しては全面的にスタッフの皆さんにお任せしているので。

——倉本さん、今回『サンチョー』の監督としてどのように映像を?

ジャルジャル

倉本 舞台の内容が固まったあとで「どうやって撮ろうか」となったので、映像的なおもしろさは追求しましたね。ここ数年のジャルジャルの舞台は「転換のときも舞台の上に片方が残ってコントとコントの間をつなぐ」というフォーマットで作っているんです。映画ではコントのつながりをもっと自由にできる。ふたりが演じた3キャラクターが同時に存在することも可能なので、その映像でしかできないおもしろさは使いたいなと。作っていく間に、キャラクター全員がそれぞれに関係していくのがいいのかなとつなげていったら自然にできていきました。

——単独ライブと同じキャラクターが登場するけれど、構成が違うというかたちについて、おふたりは演じていてどうでしたか?

ジャルジャル

後藤 キャラクターがつながっていくこと自体はライブの演出でもやっていて慣れていましたけど、ライブと映画で相関図が違うのが、絶妙にごっちゃになりました。しかも同時進行だったので、単独ライブのときは映画の設定を一回忘れる、っていうのがちょっと大変でしたね。

倉本 僕は舞台の演出もやってたんで、「どっちやったっけ?」っていう感覚に何度も陥りました。

福徳 クランクインが単独初日でしたから。

倉本 そうなんですよ。クランクインした夜が舞台の初日。その日の朝方までリハーサルしてましたからね。

——「同時進行」といえど、まさかそこまで同時だったとは。

後藤 (なんでもなさげに)なんかね、そうなっちゃったんですよ(笑)。

コント数では世界を制することができそう

ジャルジャル

——観ていてもそうですし、話を伺っていてもおふたりは「ただコントをやるだけ」と言われますが、旅館やビルでのコント配信企画といい、今回の映像といい、ちょっとほかでは観たことのないチャレンジをたくさんされていますよね。

福徳 あ、僕らは本当にね、コントやってるだけで。

——やはり。

福徳 まわりのスタッフさんが「次これはどうですか」とガンガン来てくれるんで、僕らはそこに便乗しているだけです。旅館のときもビルのときも、言ってくれたことに「それおもしろそうやな」と乗っかった結果ですし。

後藤 まわりの方が僕らのネタをどうやって見せるのがおもろいかというのを、大喜利的に考えてくれるんですよ。その中でやったことないことができるのは、本当に幸せな環境だなと思いますね。

——おふたりとしてはどういうフォーマットであれどこであれ、コントができればそれでいい?

ジャルジャル

福徳 まあ、大げさな話、そうですね。

——コントで世界を制覇しそうなほど新しいことを次々仕かけているのに、おふたりのスタンスは常に「なんでもなさげ」ですよね。

倉本 いや、ジャルジャルには笑いで世界を制するという目標はあるんですよ。でもそれがイコール、コントをやってるだけ、なんですよね。コントをやりつづけてたらうっかり世界を制した、みたいな。

福徳 数ではね。コント数では世界を制することができそうなんで。

——確かに、ネタ数8000本ですもんね。

ジャルジャル

倉本 なんでこんなに湧き出る泉のごとく、ネタを作っていけるのか……。ふたりの間柄だから起きているマジカルみたいなもんがあるんやろうなと思いますよ。単独ライブ前にいつもネタ見せがあるんですけど、そのときなんてほぼ休憩なく、40本近くの新作コントを延々と見せられるわけですよ。

福徳 ははは。

後藤 ふふふ。

倉本 付き合い長いけど、ふたりがいつコントを作ってるのかもわからへん。しかも「もう一回作ってきます」とか言って、次のネタ見せでまたおんなじくらいの数作ってきたりする。なんじゃこいつら、バケモンちゃうかと。やっぱり本人らは生み出すことが好きなんやろうなと思いますね。しかも一度生んだあとは「ええ感じにしてくださいね」と委ねてくれるから、本当に清々しく仕事できるし、僕も一番力が発揮できる。

今までいろんな芸人さんとやりましたけども、ちょっとほかにはいない芸人だなーと思います。これからもさらに大きな道を切り開いていってくれそうだし、それが国境を越えたりもしそうだし。携わることができて本当に幸せですね。

——おふたりはコントをどんどん紡ぎ出し、「ネタの種」をYouTubeにアップされていますけど、作る中でボツになるものはあるんですか?

ジャルジャル

福徳 ボツにしたものを、YouTubeに上げてるので。

後藤 YouTubeはネタになる前のものというハードルの下げ方をしてるんで、けっこうなんでもありになっちゃってますから。YouTubeにも上がらないようなものは……あるかな?

福徳 人と被ったら、ボツですね。あとはボツにならない(笑)。

後藤 ほぼ捨てるところはないと思いますね。

優勝して、もっとネタが作れるようになった


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釣木文恵

(つるき・ふみえ)ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。

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