2001年、2002年、2003年と『M-1グランプリ』決勝に出場した漫才コンビ・アメリカザリガニは、現在VTuberの世界に進出している。学究肌の平井善之(ボケ担当)は、ソロでもVTuber「アメザリひらい」として活動しており、文化を保存する有効な技術として未来を見据え、新たな挑戦をしつづけている。その真意をVTuber文化を愛するライター・たまごまごが聞いた。
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「あんたたち実になってるよ!」
──20日には漫才イベント『バーチャル漫才笑たいむ』がありましたね。
平井 僕と相方の柳原(哲也)さんが、仲よくさせてもらってるVTuberさんお呼びして、組んで漫才やってみようぜっていうものですね。うちの相方がVTuberさんたち見てびっくりしてました。「ああー、人前でしゃべってんなぁこれは、間違いないわ」って。
──配信しているVTuberさんが多いと思うんですが、実際しゃべりのレベルはプロの方から見てどうなんでしょうか?
平井 うまいです。相方はVTuberとか新しいものに疎くて、ガラケーしか持たないよ俺は、とかって言ってる人間なんですよ、俺はもう漫才だけなんだと。全然興味ない、わからんもんはやらん。そういうタイプです。ですけど柳原さんは、普通に勉強して養成所に入って松竹芸能に若手として入ってくる人たちよりも、全然うまいって言ってました、しゃべってる量がそうさせるんやでって。
──あっ、毎日配信をやってるから!
平井 本人は気づいてないかもしれんが、相当うまいって。話の運びもうまい。あんだけしゃべってたら気づかないうちにうまくなっちゃうんですね。
──これって新しい文化な気がしてきました。
平井 僕もそう感じています。もう止まらないですね。
──お笑いは表情とか動きがすごく大事じゃないですか。バーチャルになったときに失われるんじゃないかって心配はあったんですよ。
平井 そこがまたVTuberさんたちがうまいところでね。声で表現するんです。自分たち全然意識してないと思うんですけど使い分けよるな、って柳原さん言ってました。声のリアクションとかでリズム作ってしまっているんですよ。見えないお客さんを相手にしている人特有ですね。もう染みついてしもうてるんですよ。ピン芸人と近いですね。本人たちはなんかようわからんけどがんばってやってますって言うけど、あんたたち実になってるよ!って。伝えようとするっていうのが大事ですね。
──どうしても登録者数とかが目に見えてしまうので、悩むことあると思うんですけど、スキルが身についているっていうのは忘れちゃいけないですね。
平井 はい、まったく忘れられないものですね。登録者数とかあくまで指数なんで。じゃあスキルってどうやろ?って。個人でやられている人たちはすごいですね。
──ある意味芸能ですね。
平井 芸能ですねー。そしてVTuberは仕事じゃない。VTuberが仕事をするようにはなるかもしれないが、VTuberは間違いなく仕事ではない、VTuberは存在ですから。