「VTuberは仕事ではない、存在です」VTuberアメリカザリガニ平井善之に聞く。「道頓堀角座」は、データ上なくなっていない

2021.8.29

自身がVTuberをつづける意味

──VTuberして活動している期間がもう3年近くになるわけですけど、実際つづけてみていかがでしたか? 本来の目的と違うのかなって気もするんですけれども。

平井 本来の目的と違うんですよねこれが。ただそこはすごい考えてて、VTuberの市場が広がっていくことが大事だなと。今はアバター化の流れが来ていると理解してます。簡単に言うと「アメーバピグ」でみんながしゃべってたよねみたいな。あれも自分のキャラじゃないですか。帽子被ってみたりとか化粧してみたりとか。

──個々がアバター持って歩き回ってましたね。

平井 そうです。それはアメーバさんのプラットフォームの中で行われてたんですね。それが今VTuberとしてみんな作れますよと。

──そうなると3Dとか2Dとかにこだわりはあんまりないんですか?

平井 ないですね。やる人が増えていけばいくほどいいんですよ。海外に向けてもプロモーションしていきたい。その上で、自分自身がVTuberとして活動していないと、説得力もないし、信じてもらえなかったんですね。

──架け橋になるには自身がVTuberにならねばと。

平井 VTuberになって、自分自身で活動してみることは大切です。今はたくさんのVTuberと一緒に考え方を吸収したいですし、どういう悩みを抱えて、何をして楽しむのが好きで、どういう未来を見ているのか知りたいです。そこの整合性が取れないと全然違う方向に僕は走ってしまう可能性があるので。何がすごいって、その人たちそれぞれにファンがいるっていう大きさですよ。

──あー確かに、個々それぞれについていますね。

平井 僕ひとりだとたかが知れてるんですが、それが束になればすごい数だよねって。みんなでやらないとこの未来って加速しないですよ。そのためには皆さんの力が必要なはず。

──コラボを見ていると、ほかのVTuberさんのファンで、平井さんに対して好意的な方がすごく多いなっていう印象があります。

平井 もう皆さんの度量ですよね。すげーなーと(笑)。

個人活動のVTuberの底力

──印象に残っているVTuberはいますか?

平井 最近の印象ですと舞鶴よかとさんです。個人としてのそのパフォーマンス、コミュニケーションの強みみたいなモノをお持ちです。能力が高い人なんだなーっていう印象ですね。

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──VTuberファンの方はそれぞれどんな感じで見てますか?

平井 皆さん優しい。雑音が入らない。そのVTuberさんを好きな人しかいない。ちゃんとこれを見ようとして選択して集まっている人たちなので純度が高いです。

──お笑いの界隈と違いますか?

平井 当時の話ですが違いますね。テレビで流れていろんな人が情報を取れるような環境の中だと、ファンの思いであったりとかお笑い論であったり、いろんなものが蠢くんです。個人活動だとファンが、好きなものをただ好きだとして純粋に見ている。ストレスがないですよ。マスに訴えているものではないっていうようなイメージを受けましたね。よりマスを目指すと、たくさんの人が見れば見るほどを純粋な意見以外も混ざってくる。

──ただやっぱり、どんどんマスに動いていかなきゃいけない時期なのかなって僕は感じるんです。平井さんはどういうところに進んでいきたいですか?

平井 今まで存在しているメディアやコンテンツ制作の業界の稼働を、一緒に新しく作っていければいいなと思う。もっと言うと日本の文化として考えた場合、海外でもパフォーマンスを発揮できるんじゃないかな。なので海外に向けての働きかけを今している状態です。

──VTuberも日本の文化として発信できると。

平井 そうですね。日本にはVTuberというコンテンツもあるよって。たとえば海外ではジャパニーズカルチャーのコンベンションとかもあるわけですよ。僕がお世話になっているのが、『アニメ・エキスポ』とか『ジャパンエキスポ』とか。海外の日本の文化が好きな人の集まるお祭りみたいなのが、アメリカ、ヨーロッパ、南米などけっこう各所であります。じゃあ日本のコンテンツとしてVTuberを、今日本にはこういう人たちいるよって、海外へのイベントに持っていったりしているんです。

──平井さんはそういうのを持っていきやすい立ち位置にもいらっしゃいますよね。

平井 ありがたいのは、「昔『M-1』見たよ」とかの話が普通に名刺交換代わりにできるので、やりとりがスムーズにいったりするんですよね。それで、今は海外のイベントに皆さんを登場させようとしています。

──もうすでにやってるんですか?

平井 やらせてもらっています。8月20日から22日の『オタクソン』っていうカナダのイベントでVTuberの方を紹介しています。個人の人ですね。個人のVTuberさんってすごく大変なんで、その人たちを紹介します。朝ノ瑠璃さんとか、黒桐アリアさんとか、妖怪の花琴いぐささんとか、キャラクターとして皆さん、すごい個性的なんですよね。

──今出たVTuberの方は、コンテンツを作ることを考えて活動しているように見えます。

平井 コンテンツ意識が高いですね。「楽しい」っていうよりは「ちゃんと考えているんだね」というほうが海外の人に好感を持ってもらえる。福岡のことを紹介したい舞鶴よかとさんとか、妖怪や日本の伝統と高知県を伝える花琴いぐささんとか、すごいですよね。あれを個人でやってるって。そこまでやるんやったら!ってなっちゃうんですよねぇ。なのでいろんなところに働きかけているわけです。VTuberも悩むんだと思うんですけど、大事なんって一発のでかい成功事例なんだろうなって思ったわけですよ。やっぱつづけてていいんだって自分自身が認めてしまう環境です。

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──一番難しい、運が絡んでくるところですね。

平井 そこはちゃんと企画して伝える場所などを考えていけば個人の活動でも想いは届くよって。これはみんなで共有しなきゃいけない。みんなで創る未来なので。

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