VTuber「動く城のフィオ」の生存戦略。現実で生きていくのが難しいなら、こっち<VR空間>で生きていこうよ


動く城のフィオサムネ

今年の夏、バーチャル空間上での同人誌即売会『ComicVket』同人音楽即売会『MusicVket』が注目を集めた。バーチャルな世界で経済を回し、生活していくことは可能なのか? VTuber文化を愛するライター・たまごまごが、イベント仕かけ人「動く城のフィオ」に聞いた。「自己肯定感も尽きていて、毎日死にたい死にたいと思っていたところで、バーチャル空間に出会いました」。そこは究極の居場所なのかもしれない。

VR空間で生活をするということ

──スマホからでも入れるということで『ComicVket』経由でVRにハマった人は多いようですね。

フィオ バーチャル空間で生きていく、というのが私の夢なんです。それにはもっとたくさんの人にバーチャル世界のおもしろさや価値に気づいてもらう必要があって。バーチャル空間上でアバターとして生活をすることが、当たり前にできる世の中になっているんだよ、というのをまだみんな知らないんですよね。知ってみたら「それっておもしろいじゃん」とハマってくれるって思うんです。その入口として今回の『ComicVket』『MusicVket』はすごく大きな役割を果たしてくれたんじゃないかと思いますね。

動く城のフィオ
動く城のフィオ/VR法人HIKKY取締役CVO。3Dモデルのマーケットフェスティバル『Virtual Market』『ComicVket』『MusicVket』などをVR空間上で主催。「バーチャルつるぺたドワーフ錬金術師ロリ爺」としてVTuber活動を行っている(ツイッター、各フェスサイトは文末の関連リンクを参照)

──バーチャル空間上で生活する、ってどんなことでしょう? 遊びに行く、とは違うんですか?

フィオ これは私の原体験に関するところが大きいんです。前職で働いているときにに内因性のうつ病にかかりまして。セロトニンの分泌異常で、やる気がなくなったり、なんの理由もなく死にたいと思ったり、身体がだるかったり、睡眠障害が起こったりする。同時に外出恐怖が併発してしまったんです。要は引きこもりですね。

──そうなると生活がままならないですね。

フィオ ハンディキャップを負うようになって、会社を辞めました。息子ふたりと妻がいるので、今後どうしていこうかなと考えていたんですけど、会社に通勤するという生活はもうできないなと思ったんですよね。自己肯定感も尽きていて、毎日死にたい死にたいと思っていたところで、バーチャル空間に出会いました。ここならどんな姿にもなれるし、ゼロからなんでも作れる。面積は無限大で、そこには国を作ることすらできるかもしれない、みたいな話をねこますさん(元バーチャルYouTuber)とかGOROmanさん(『オキュラス・ジャパン』創設メンバー)がおっしゃっていたのを聞きました。

『ミライをつくろう! VRで紡ぐバーチャル創世記』GOROman/翔泳社
『ミライをつくろう! VRで紡ぐバーチャル創世記』GOROman/翔泳社

フィオ そこに可能性を感じて、いてもたってもいられなくなってバーチャル空間に飛び込みました。バーチャル空間で新たな友人たちに出会い、同時にVTuberとして視聴者さんにも出会い、自分はここで生きていけるかもしれない、と感じたんですよ。ただ、バーチャル空間の中だと「職業」がないんですよね。あくまでも今はまだ「ゲーム」であって、仕事が存在しない。もしもバーチャル空間に職業が生まれていったら、私はここで生きていくことができるかもしれないな、と思ったんです。

──「経済」をバーチャル空間に生む、ということですか?

フィオ そうです。バーチャル空間で生活するといっても、自分の肉体と家族をどうにかして食べさせなきゃいけないわけですから、そこにはお金が必要です。独自の経済圏を作って、バーチャル空間を軸に生活する、というのも生き方のひとつだと思うんですね。私は今は完全にバーチャルでの活動だけで家庭の収入をまかなっています。

──バーチャル空間で仕事をして、お金になるものですかね……?

フィオ 今はまだまだです。バーチャル空間内の活動だけで生活できる人は数えるくらいしかいないんじゃないでしょうか。トップクラスの3Dモデラーさんとか、バーチャル空間で活動するVTuberさんとか。バーチャル空間での活動およびアバターという人格で、物理世界の名前を持った人間を養っていくことができている、という観点だと、まだ「マーケット」にはなっていないと思います。

バーチャル空間の人との距離感


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