「どんな肩書も勲章のひとつ」犬飼貴丈が“ライダー俳優”について今、思うこと

2021.8.10
犬飼貴丈

文・編集=高橋千里 撮影=佐々木康太


1971年『仮面ライダー1号』で初代仮面ライダー役を演じた藤岡弘、オダギリジョー、水嶋ヒロ、佐藤健、菅田将暉……。仮面ライダーシリーズへの出演をきっかけに一躍有名になった彼らは、通称「ライダー俳優」とも呼ばれている。

彼らは「ライダー俳優」という肩書にどんな思いを寄せ、今俳優としてどのように活躍しているのか。2017年『仮面ライダービルド』(テレビ朝日)に出演した俳優・犬飼貴丈さんにインタビュー。現在放送中のドラマ『サレタガワのブルー』(MBS)に絡めて、自身の俳優人生を振り返ってもらった。

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不倫“サレタガワ”の夫役が決まり「久々に普通の役が来た」

──不倫ドラマ『サレタガワのブルー』で、不倫“サレタガワ”の夫・田川暢(のぶる)役を演じた犬飼さん。出演が決まったときの心境はいかがでしたか?

犬飼 久々にこういう“普通の役”が来たな、と(笑)。それまでは奇人・変人ばかり演じることが多かったので、まともな周期に入ってきたのかもしれません。ただ、“普通の役”を演じるまでのブランクが長かったので、少し不安はありました。

──確かに、犬飼さんは『ぐらんぶる』(2020年)や『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男』(テレビ朝日)などで、個性的な役柄が多いですね。暢役を演じるにあたって、意識したことはありますか?

犬飼 僕自身が険しい表情になりがちなので、なるべく「(不倫を)された!」というような表情を作るように徹しました。あまり眉をしかめないように、優しげな顔になるように。

そうすることで、不倫する側の妻・藍子(堀未央奈)が引き立つので。ふたりが対極にいればいるほど、お互いが立つんですよね。

──今回のドラマでは料理などの家事をするシーンが多かったかと思います。犬飼さんは、ご自身のYouTubeチャンネルでもよく料理をされていますよね。

犬飼 そうですね。料理は日頃よくやっているので、手慣れている感は出たかなと。あとは、YouTube以外でも掃除など家事全般が好きでよくやっています。

役に入り込むために「セリフを覚えること」を怠らない

──今回のドラマに限らず、役に入り込むために大事にしていることはありますか?

犬飼 当たり前のことかもしれないですけど、セリフを覚えることですかね。僕って、人よりもセリフを覚えるのが遅くて。たとえば9割くらい覚えて現場に行ったとしても、「次のセリフなんだったけ……」と考えながら話してしまうこともあったんです。そうすると、セリフ以外のことに集中できなくなってしまって。

最近はそうならないように、プライベートでも台本をずっと読み込むようにしています。自宅にいると睡眠や娯楽などの誘惑が多くて集中できないので、なるべく外に出て覚えるほうが合っていますね。

──長いセリフだと覚えるのが大変そう……!

犬飼 学生時代の試験前と同じように、ひたすら暗記です!(笑)

でも、好きな歌って全部覚えられるじゃないですか。それと同じです。僕は学生時代、勉強とは相反するところにいたんですが、今はこの仕事が好きなので、がんばってセリフを覚えられるようになりました。

──今回のドラマを通して、演技の面で成長したと感じるポイントはありますか?

犬飼 ナレーションが多い作品なので、そのナレーションが入る“間”を考慮しながらセリフを言うのが難しかったですね。独特な感じのお芝居だったなと思います。監督から合図が出ることもありますが、自分の中でナレーションを再生しながら“間”を取ったりもしました。

──藍子役の堀未央奈さんとは初共演だったかと思います。犬飼さんのほうが演技歴が長く先輩ですが、何かアドバイスなどされましたか?

犬飼 全然、頼りない先輩だったなと思います。演技歴が長いだけで、アドバイスというアドバイスはしてあげられなかった。そもそも、僕がアドバイスできるほどの人間じゃないし、人のお芝居にどうこう言うのは失礼だなと思っているので、何も言わなかったですね。

ただ、コミュニケーションの面では工夫しました。カメラが回っていないところでは明るく振る舞うようにしていましたね。本番中は役柄上、自分(暢)がへこむシーンが多かったので、現場や気持ちが暗くならないようにバランスを取りたかったのもあります。バカな話をしたりと、笑いが絶えないように心がけていました。


「ライダー俳優」という肩書について、今思うこと

──『仮面ライダービルド』放送から、もうすぐ丸4年になります。この4年間をどのように振り返りますか?

犬飼 もう4年か……短かったですね。高校3年間のほうが長く感じます。いろんな人と出会えたし、人間として充実した生き方ができた4年間でした。

仕事の面では、いい意味で肩の力の抜き方がわかってきましたね。うまくリラックスするやり方を見つけられました。気張り過ぎるとパンクしちゃいそうになるので、なるべく余裕を持つようにしています。

あとは、昔よりも怒らなくなりました。許容範囲が増えたのかもしれないですけど。昔は、何か嫌なことを言われたときに真正面から受け止めていたけど、今はある程度さらっと流せるようになりましたね。

──YouTubeチャンネル同様、こうして犬飼さんとお話ししていても、いい意味で自然体でいることを大事にされている印象を受けます。一方で、「ライダー俳優」という肩書にプレッシャーを感じることはないですか?

犬飼 プレッシャーは全然ないですね。純粋に「ライダー俳優」の括りに入れていただけるのがうれしいです。

元を辿ると「ジュノンボーイ」もそうですが、「ライダー俳優」という“称号”がまたひとつ増えた気がして、それがうれしい。この肩書を持てる人はそう多くはないと思うので、誇らしいです。

──今後はNHK大河ドラマ『青天を衝け』への出演も注目されていますね。

犬飼 大河は初出演なので、まわりに刺激をもらいながら撮影に臨んでいます。実は、現場が『なつぞら』を撮っていたスタジオの隣なんですよ。なので、“ホーム”を感じながらリラックスして演じられています。

──俳優人生において、犬飼さんが「これを達成したら100%」と設定しているゴール地点みたいなものはありますか?

犬飼 僕にとっては、俳優を辞めたときが100%ですね。もし今日辞めたとしたら今日が100%だし、昨日辞めれば昨日が100%。

そもそも、「今が何%」とはあまり考えないようにしています。マラソンと同じで、ゴールが見えちゃうと直前で力を抜いちゃったりするじゃないですか。ゴールが見えないほうががんばれるタイプなんです。だから、よけいなことを考えずに“今”を走り抜きたいですね。

ドラマイズム『サレタガワのブルー』(TBS:毎週火曜深夜1:28~、MBS:毎週火曜深夜0:59~ ほか)

サレタガワのブルー
(c)セモトちか/MIXER/集英社 (c)「サレタガワのブルー」製作委員会・MBS

読んだら必ず不倫したくなくなるマンガ、セモトちか原作『サレタガワのブルー』が犬飼貴丈&堀未央奈のW主演で実写ドラマ化! 愛妻家のイケメン夫、優しくてかわいい妻。幸せな夫婦生活は偽りの姿──。思いもよらぬ妻の不倫から始まる、“サレタガワのブルー(された側の悲劇)”の物語。

今夜8月10日(火)、第5話放送!

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高橋千里

(たかはし・ちさと)フリーランスの編集者・ライター。2015年に株式会社マイナビに中途入社し『マイナビウーマン』編集部に配属。2020年12月にマイナビを退社、2021年1月に独立。『QJWeb』『logirl』などのエンタメ・カルチャー系WEBメディア、『ローリエプレス』『マイナビウーマン』などの..

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