マヂカルラブリーがお笑い界の展望を語る。『キングオブコント2021』は史上最“変”、『M-1』は強くなり過ぎた

マヂカルラブリー

文・編集=佐々木 笑 撮影=TOWA


マヂカルラブリーが『M-1グランプリ2020』を優勝し、毎日引っ張りだこな世の中になって半年が過ぎた。

本記事では、王者の目線でお笑い界を俯瞰で見ることができる彼らに、『M-1』の最近の変化、今までにないほど注目を集めている『キングオブコント2021』、そして、現在の彼らについて追求した。

お笑い界の波について問うと、「う~ん」と首を傾げた、彼らの真意とは──。


マヂラブは“足を止めない”のではなく、“止められない”

──お笑い界全体の展望、マヂカルラブリー自身の展望をお聞きしたいです。

村上 僕らが、東京よしもと勢久しぶりの『M-1』チャンピオンになったから、東京よしもとがもうちょっとがんばっていけるようになったらいいなと思ってます。東京の、僕らよりも下の世代が決勝行けるようになってきてるんで。ゆにばーす、ニューヨーク、オズワルド……あのへんが、2021年優勝して東京チャンピオンが2連チャンになって「東京やるねぇ」ってなったら僕はうれしいかなぁ。別に敵対してるわけじゃないけど、最近ずっと大阪に押されてるから……。

──『M-1』で大阪勢に押されている?

村上 『M-1』もそうだし、東京の「ルミネtheよしもと」とかの劇場も、かまいたちさん、アインシュタインさんとか大阪出身の人がバーッて並んでて、居心地がね……だんだん悪くなってきてて(笑)。東京よしもとがんばれ!って思ってる。

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村上(むらかみ)。1984年生まれ。難しい質問に対し、先に答えてくれたのは意外にも村上だった

──東京よしもと勢に限らず、マヂラブさんの優勝してからの“足を止めない姿”に、胸を打たれている後輩芸人さんは多いと思います。

野田 足を止めない……。う~ん、止められない……。

──止められない?

野田 うん、止められない……引っ張られてる。何者かに。

村上 止めたい。止めてほしい……(笑)。

野田 助けて~って感じです。お手上げだ~状態。

──(笑)。引っ張っている「何者か」の正体はなんなのでしょう?

野田 う~ん、誰なんですかね。こんなにも働きたくないというふたりが、こんなにも寝ずに働いてるんだからさ……。

村上 でも、あなたはけっこう野心ありますからね。『キングオブコント』出るとか。

野田 僕はまだ、区切りつける状態ではない、キリのいい数字じゃないとは思ってるんで。お笑いはしてるんだけども、実質何もしてない落ち着いた状態に突入するには、もうちょいやっとこうかなって感じっすよね。

マヂカルラブリー
何者かに引っ張られていると話す、マヂカルラブリー

ゴールであり、老後の挑戦のような感覚でもある『キングオブコント』

──今年2月に取材させていただいたときと比べると、だいぶ疲れていらっしゃるように感じます。半年間で気持ちの変化があったんでしょうか? 以前は「3冠獲るぞ!」という意気込みが強く感じられましたが……。

野田 あっ、でも3冠は獲りますね。半年でというか、この感じはずーっとですよ。『M-1』優勝前からどっかで休みたいっていうのはずっとあって。『M-1』優勝したことによって、なんとなく何かが落ち着くのかなって思ったんすけど、全然落ち着かない状態がつづくんで……。どっかでゴールだって思えるときがくるのかな?と。

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野田クリスタル(のだ・くりすたる)。1986年生まれ。別現場終わり、かなりお疲れのご様子ではあったが、お笑いについて前のめりにお話ししてくれた

──野田さんの中では「3冠」がゴール?

野田 もう、ほかがないから。大会はたくさんあるんですけど、『キングオブコント』、『R-1』、『M-1』以外の大会の優勝を目標としなくてもいいなぁって思えてる。だから『キングオブコント』優勝したら、いったん落ち着くのかなぁって思ってますね。……でも、わかんない。『M-1』優勝したときそうなると思ってたけど、ならなかったんで。

村上 僕は『M-1』優勝したところで落ち着いてますけどねぇ~。

──(笑)。おふたりの間に気持ちの差が。

野田 意外に(村上のほうが)ツラいかもしれないっす。「あー、やだやだ」って思いながら(笑)。

村上 まぁまぁ、普段の仕事がどうっていうのはまた違うけど、『キングオブコント』優勝をまじで狙うんだったら、本当に大変だろうなって思ってますね。

──さまざまなメディアでもすでに公言されていますが、やはり今の目標は『キングオブコント』優勝?

野田 目標っていうか、『キングオブコント』だけ制限がなくて一生出られるものだから、人生にあってもいいじゃんって思うんすよ。「出たら優勝できる年があるかもしれない」って考えると、楽しくはなってきそうだなとは思ってますね。老後みたいな感じで挑戦してってもいいかなぁって。

──2021年で確実に優勝したい、というわけではない?

野田 優勝しやすいのは今年ですね。

──なるほど。……今、村上さんのお顔が少し死んでいらっしゃいます。

村上 まぁ……今年はしょうがないと思いますね。チャンスよ、チャンス。今年の優勝を失ったら本当に何年後でもいいっす。5年溜めて出るとかでもありだし。

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『キングオブコント2021』は、“最強”ではなく、“最変”


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佐々木 笑

(ささき・えみ)1996年生まれ。宝島社ムック局編集部のち、フリーランスの編集者・ライター。笑と書いてエミ読みます。本名通りお笑い大好き人間に育ちました。『フワちゃん完全攻略本』『#麒麟川島のタグ大喜利』『KOUGU維新 公式本で、イザ参ラン!』(すべて宝島社)など。アイコンは川島さんに描いていただ..

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