マヂカルラブリーがお笑い界の展望を語る。『キングオブコント2021』は史上最“変”、『M-1』は強くなり過ぎた


『キングオブコント2021』は、“最強”ではなく、“最変”

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──今年の『キングオブコント』は、史上最強になるのではという声もありますね。

野田 最強かどうかはわかんないっす。最変。最も変な大会になってもおかしくないですよね。僕らが出るとか関係なく、ユニットOKにしたことが大きい。コントでそれはマズいかもしれないって思いますね。漫才と違って、コントって複数人いるほうが強い可能性があるんですよね。劇団がそうなんですけど。

村上 チョコプラとシソンヌが一緒になって「チョコンヌ」で出ちゃうとかね。

野田 漫才は「はいどうも~」のタイミングで一緒に出て行かざるを得ないじゃないですか。でも、そういう決まりのないコントで、たとえば20人とかでで何か同じことやられたら、笑っちゃうと思うんすよね。

──いわゆる、新喜劇みたいなかたちも。

野田 それこそ新喜劇自体が出られますからね。そう考えると、えっっぐいことになってもおかしくない。まだ参加表明してないコンビで、ユニットで動きてえなぁってなってる人がいたら危ないかもしれない。それか、今年は様子を見て、来年来るかもしれないっす。

村上 予選めっちゃおもしろそうよね。

野田 今年の予選もだし、来年がおもしろい可能性はありますよね。今年を踏まえて、ユニットでいいんだったらって思う人がたくさん増えるのが来年かもしれないっすね。

──ちなみにおふたりはユニット出場を考えていますか?

村上 僕はないですね。

野田 たぶん、3冠獲った気にならないだろうなって思って。

──「マヂカルラブリー3冠」ではなくなってしまう。

野田 そうそう。僕、もともとは『キングオブコント』優勝目指してなかったからね。

──2冠獲ってから意識が変わったんでしょうか?

野田 そうっすね。2冠獲ってから3冠目指したんすよ。だから、獲りたいのは「『キングオブコント』優勝」よりも「3冠」のほうかもしれないですね。区切りがいいというか。

──ライバルになりそうだと思う芸人さんはいらっしゃいますか?

野田 ゆりやんが来たら怖いなぁと思いますね。ゆりやん、誰と組んでもおもしろそうだもんなぁ。そう考えたら、ほんとに今年は変な大会になりそうっすよ。

──確かに。“最強”じゃなくて“最変”ですね。

野田 最変ですね。霜降りも今年出るんだとしたら、“急に出る”ってことですから、変ですよね。俺も変だし。出なくていいのに。で、大会も変。このタイミングでユニットにするのは変。全部変ですね。

──ユニットで言うと、コント村なども。

野田 出られます。劇団かもめんたるとかも出られますよね。で、これまで実は、お笑いライブとかでなく、こっそりやってたお笑い喜劇系のコント劇団もあると思うんすよ。めっちゃおもしろいかもしれないですからね。コツコツ誰にもバレずにやってきたような劇団が参加表明してきたら震えますよ。

村上 ふたりでやってるコントがめちゃくちゃ弱く見えるかもしれないよね。大人数だと「まだいたんかい」ができるもんなぁ……。

野田 「まだいたんかい」もできるし、「入れ替わってたんかい」とかも。いくらでもやり口はありますよね。

──その人が「『キングオブコント』優勝をしたい」のか、「コンビの名前に箔をつけたい」のか、どう思って出場するのかも肝となりますね。

野田 難しいっすね。でも、みんなはどんな状態であれ優勝すればいいっていう段階で、それ以上のこだわりまだ持てないと思います。

お笑いに「ブーム」なんて存在しな

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──昨今のお笑いの波みたいなものは、このあともずっとつづいてくと思いますか?

野田 あ~……お笑いの波か~。まず、お笑いの波が来てるんですかね?

──コロナ禍で、芸人さんがYouTube活動を始められたり、オンラインでライブを楽しめるようになったり、普段劇場でお笑いを観てなかった方にも広まりやすくなったように感じます。

野田 YouTube とか配信とかで盛り上がってるんですけど、そのほかの業種でよくある“一過性感”はないと思うんです。別に、今だからっていう感じじゃないんですよね。「今ブームですね」って言われても、「ブームってこういうこと言うのかなぁ?」っていう感じがあって、だから強いのかなとも思いますね。急激に上がらないから、急激に下がらないのが芸人なんじゃないのかな。

村上 お笑いはずっとある感じがするよね。

野田 うん。だからこそ、変な仕事だなぁって思うんすけど。ティックトッカーとか、急に話題になる業種とかあるじゃないですか。そういうブームではないと思うんすよ。「お笑いブームだなぁ」って言ってる芸人は見たことないっすね。

村上 確かに、逆にTikTokとかでバズってる芸人が増えてきて、それでお笑いが流行ってるみたいになってるんだったら、なんだかおかしな話になってきてるなぁとは思うかな。観られる機会が増えても、お笑いファンの全体の数はあんまり変わってないかもしれない。

昨今の『M-1』の変化と、2021年の予想

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