ニッポン放送・石井玄×GERA恩田貴大、『アルピーANN』終了を経て考えた「終わらない番組の作り方」

2021.7.27

あり得ない失敗をしてきたから、今、わかることがある

恩田 佐久間宣行さんの配信イベント(『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)リスナー小感謝祭2021~Believe~』)も大盛況でしたし、石井さんは本当にイベントをどんどん企画されてますよね。

石井 イベントの反響を売り上げも含めて社内にアピールして、「この番組を終わらせるのは、もったいなくないですか?」って伝えたいんだよね。リスナーの熱量や番組のおもしろさを可視化したくて。

僕の先輩の宗岡芳樹さん(TBSグロウディア・ラジオディレクター。元ニッポン放送勤務)も、リスナーが求めていることを前提として、オードリーさんと東京国際フォーラムで番組5周年のイベントをやったり、ナインティナイン岡村隆史さんと横浜アリーナで番組イベントをやったりしていたのは、やっぱり「番組をつづけたいから」っていう気持ちがあったからだと思う。

佐久間さんが以前インタビューなどで、「お金を稼ぐと番組がつづく」と仰っていたことにも影響受けていて。今は業界全体で、番組とイベントの連動企画が増えてきているし。

恩田貴大

恩田 なるほど。こないだGERAでも、囲碁将棋さんとイベントをやったんですよ……もう、感動して泣いちゃいました。

石井 早い。達成感が早い(笑)。

恩田 そして石井さんからダメ出しの連絡もいただきましたね。

石井玄

石井 そうそう。イベント自体はおもしろかったんだろうけど、記事化された写真見たらステージ上に置いてる机が質素で。なんであんな質素な机にしたのかがわからなかったんだよね。いつも放送しているところで使ってる机だったらエモいんだけど、これはそういう狙いでもないなと思って。

ちゃんと意図があったらリスナーもうれしいよね。「あれ? いつもの机じゃない?」ってなったほうが楽しいじゃない。「あえてそうしたんです」って言われればすむんだけど、指摘したら恩田くんも「あ」って顔するから。もうダメです、負け(笑)。

恩田 そうなんですよね……。全然、考えてなかったです。

石井 「ビジュアルが大事」っていうのは、イベントやるときに僕も言われたことがあって。経験豊富な人と仕事すると、最後にメディアに出る写真1枚まで重要視してるんだよね。だから、広報的な役割の人を入れて仕組みを作ることも大事。それで全然、変わってくると思う。そういう人を探さずにみんな自力で全部やろうとするんだけど、そうするとだいたい行き届かずに、「ああ、失敗した」ってなるから。

恩田 石井さんも過去にそういう失敗を重ねてるんですか?

石井玄×恩田貴大

石井 もうめちゃくちゃあるよ! 一番覚えてるのは、2019年にラゾーナ川崎でやった『オードリーのオールナイトニッポン 10周年全国ツアー in 日本武道館』のDVD発売記念イベント。

最初はオードリーさんが立ってしゃべってたんだけど、こっちで用意しておいた椅子に座ったとたんに体勢が低くなったから、うしろのほうのお客さんからふたりが見えなくなって、結局ずっとオードリーさんは立って進行することになって。若林さんから「なんで低いんだよ(笑)」みたいなことを言われて。確かにそうなんだよね(笑)。

椅子を置くのはイベントスタッフの仕事ではあるんだけど、それを事前に指摘できないのは、総合演出の僕のせいだから。「座ったらどうなるか」「お客さんが入ったらどうなるか」とか、そういう可能性をまったく想像できてない。そういう「そこ気づかなかったな」みたいな失敗はめちゃくちゃ重ねてる。

そんな反省をして、じゃあ次はよくしようっていうのをずっとやる作業だから。つらく険しく、苦しい作業。まあそういう失敗をしてきたから、いろいろ言えるようになったってことでもあるんだけど。だからさっき言った机はちょっと……気になって。

恩田 ありがとうございます。次回のイベントにご期待いただきたいです!!

この記事の画像(全6枚)



  • 石井玄『アフタートーク』

    石井玄『アフタートーク』

    発売日:2021年9月15日(予定)
    予価:1,650円(本体1,500円+税)
     
    『オードリーのオールナイトニッポン』『星野源のオールナイトニッポン』『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』『三四郎のオールナイトニッポン』『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』など、数々の名番組に関わった、ニッポン放送・石井玄の初エッセイ『アフタートーク』が9月15日に発売されることが決定。
    「ラジオ制作や会社員にまつわる仕事論」、「学生時代にラジオに救われてから業界を目指すまでの道のり」「ラジオを共に作ってきたパーソナリティ・放送作家・リスナーとのエピソード」の3パートで構成。深く関わった番組を語るコラム、放送作家の福田卓也、寺坂直毅、ラジオディレクター宗岡芳樹らとの対談、TVプロデューサー・佐久間宣行による「元会社員が語る解説」などを収録。300ページ近くのボリュームで、ラジオへの情熱と志を余すところなく綴った10年間の集大成=アフタートーク。
     

    関連リンク


この記事が掲載されているカテゴリ

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。