ニッポン放送・石井玄×GERA恩田貴大、『アルピーANN』終了を経て考えた「終わらない番組の作り方」

2021.7.27
石井玄×恩田貴大

文=松本紋芽 撮影=長野竜成 編集=鈴木 梢


お笑い芸人による音声コンテンツが楽しめるラジオアプリGERA(ゲラ)がリリースされて1年以上が経過した。2021年6月12日には同アプリ内の番組『囲碁将棋の情熱スリーポイント』から生まれたイベントが東京・よしもと有楽町シアターで開催され、大盛況のうちに幕を閉じた。

しかし、プロダクトオーナーを務める恩田貴大は、GERAの各番組がより多くのリスナーに愛されるためにはさらなるアプローチが必要だと考えていた。

今回はそんな恩田と、数々の人気ラジオ番組を手がけてきたニッポン放送エンターテインメント開発部のプロデューサー・石井玄が対談。これまでの経験をもとに石井が今考える「終わらない番組の作り方」や、GERAの今後について話し合った。


アルコ&ピースから学んだ“番組のおもしろさを伝える”ことの大切さ

恩田貴大
恩田貴大(おんだ・たかひろ)1991年生まれ。岐阜県出身。ファンコミュニケーションズ新規事業開発部GERAチームに所属し、お笑いラジオアプリ「GERA(ゲラ)」のプロダクトオーナーを務める

恩田 普段から石井さんにはアドバイスをいただいていますが、改めて今日はお話しさせてください。

石井 はい。たしか恩田くんと出会ったのはイベント(2020年7月に開催された『ラジオリスナーフェス2020』)のときだよね。当時すでにGERAは知っていたんだけど、「ハガキ職人と作る番組だ」って聞いて、大きく出たなと(笑)。

恩田 そうですね。しかも「終わらない番組を作りたい」ってお話しして。

石井玄
石井玄(いしい・ひかる)1986年生まれ。埼玉県出身。ラジオ番組企画制作会社・ミックスゾーンにて『オールナイトニッポン』のチーフディレクターを経験。2020年からはニッポン放送エンターテインメント開発部のプロデューサーへ

石井 それこそ僕は、『アルコ&ピースのオールナイトニッポン0(ZERO)』(以下、『アルピーANN』)で番組の終了を経験して、なんとか番組が終わらないためにはどうしたらいいかって気持ちを抱えてずっとやってきたから。終わらない番組を作るのは僕の目標でもあるし、恩田くんと志が似ているとは思いつつも、「お前、そんな甘いもんじゃないぞ」って話をしたよね。

恩田 はい、アドバイスをいただきました。僕は『アルピーANN』のリスナーだったからこそ番組の終了が悲しくて。その後『オードリーのオールナイトニッポン』の日本武道館ライブに行って、感動してGERAを立ち上げた側面もあったので、とにかく僕にとって石井さんの影響は大きいんです。

石井 僕は基本、リスナーさんには優しくする気持ちはあるから、恩田くんもリスナーだし怒ったりはしなかったけど、「ナメてんのか」みたいなダメ出しをかなりした気がする(笑)。そう簡単にできないよって。

恩田 はい、今はあまり言わないようにしています(笑)。

石井 僕が担当してきた番組は特に、もともとパーソナリティがおもしろかった。だから、この番組をどう見せていくか、どう広げていくかみたいな、恩田くんと似たような立場でのアプローチが大事だとは思っていて。

というのも、『アルピーANN』の最終日に、すごい数のリスナーが集まったんだよね。朝の5時ぐらいに400人だとか500人だとか……諸説あるんだけど(笑)。それだけのことが起きてようやく、「すごい番組だったんだったね!」って言われるほど社内の話題になったっていう。

恩田 あの出来事は伝説的でしたよね。

明るい夜に出かけて
佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』(新潮社)では、『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』リスナーたちの交流が青春小説として描かれた。

石井 ただ、そのときに初めて、「社内にその影響力が伝わってなかったんだ」ってすごく気づかされて。自分の力不足を感じたのと同時に、「番組の価値を番組の外に伝えることこそが自分の仕事なんだ」と改めて思ったんだよね。

番組をおもしろくすることも大事だけど、さらに重要なのは「どれだけおもしろいかを広く伝える」ってことと、社内での評価対象になるようなものを作ること。だって、皆さんきっと出世したいでしょうし(笑)。

人気があってお金も稼げる番組だとアピールするために、今はイベントやグッズを通してそういう仕事を繰り返してる。もちろんそれだけではないけれど、それをやればきっと番組がつづくと思うから。

リスナーの熱量や番組のおもしろさを可視化する


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松本紋芽

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松本紋芽

(まつもと・あやめ)編集者、ライター。出版社勤務ののち、WEB編集者として女性向け健康・美容メディアを運営。2019年からはtoBサービスのマーケティングをする傍ら、書籍の校正や、ビジネス系メディア、「暮らし」をテーマにした媒体を中心にライターとしても活動。

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