海外ではエンタテインメントへの意識がバリアフリー
──日本ではメタルに特化したフェスというものはそれほどメジャーではありませんが、実は世界各地でメタルフェスは開催されているんですよね。
そうですね。海外のメタルフェスは現地のカルチャーに根づいていて、あまり特別なものではない感じがするんですよ。言ってしまえば、町内会の盆踊り大会みたいな感じで。たとえば、毎年9月の第2週の土日はメタルだよねっていうふうに、毎年の恒例行事になっている感じはありますね。
ドイツ北部のヴァッケンで毎年8月に開催される『ヴァッケン・オープン・エア』という有名なメタルフェスがあるんですけど、最終日が終わると来年のチケットが売り出されるんですよ。でもその時点では、誰が出るとか何もアナウンスされていないんです。日程だけ。来年も祭りやるからよろしく!っていう告知だけして前売りチケットを売るんですけど、すぐに売り切れちゃうんですよ。数万枚単位のチケットが。で、もちろん規模の大小はありますけど、そういったメタルフェスが毎週末ヨーロッパのどこかで行われているんですよね。6月から8月にかけて。
──そうなるとラインナップって、どうしても似通ってくるような(笑)。
ほぼ同じです(笑)。なんだったらお客さんも同じ人がいたりしますから。先週ヴァッケンで会った人が、フランスの『ヘルフェスト』にいたり。だからバンドもお客さんもキャラバンみたいに毎週末のメタルフェスを巡ってヨーロッパ中を移動してるんですよ。さながらメタル民族大移動です(笑)。

──完全にブームを超えたところで成立している感じがしますね。
そうですね。それはフェスに限らず、メタルが根づいている感じというのはあって。たとえば、アイアン・メイデンをイギリスに観に行ったときなんかは、親子3代で来てる人がけっこういて驚かされました。クラシックのファミリーコンサートとかではなく、アイアン・メイデンですからね(笑)。お父さんお母さん、その子供たち、さらにおじいちゃんおばあちゃん、みんなで来ていました、アイアン・メイデンのライブに(笑)。グッズもキッズのラインが充実していますし、会場の中では小さい子を気遣ったりするお客さん同士のマナーもちゃんとでき上がっていて、すごくフレンドリーな空気なんですよね。
──日本にはファミリー層向けというイメージは、メタルにはないですね。
めちゃくちゃ荒くれ者がいそうに見えて──パッと見いかつい人も確かに多いんですけど──でもアイアン・メイデンTシャツを着ていたらみんな仲間じゃないけど、すごく他者に対して思いやりがありますね。車椅子の人にステージが見えやすいように気遣ってあげたり。 そういったメタルマナーで成り立っています。
──メタルマナー!
ヘヴィメタルというもの、もっと言えばフェスやライブそのものは非日常なもので、そこの捉え方は日本と同じではあるんですけど、だからといってけっして特別視はしていないんですよね。なんかエンタテインメントへの意識がバリアフリーな感じがします。
※KOBAMETALインタビューの第3弾は4月30日にQJWebにて公開予定。
KOBAMETAL
(こばめたる)プロデューサー、作詞家、作曲家。2010年結成のBABYMETALのプロデューサーを務める。現在、『ダ・ヴィンチニュース』にて「メタルか? メタルじゃないか?」を連載中。
Twitter : @KOBAMETAL_JAPAN
Instagram : @kobametal_official
Clubhouse : @kobametal
関連記事
-
-
花澤香菜が明かす“仕事人としての心得”「誰も想像しない選択肢を提示できるように」
花澤香菜『やれんの?エンドレス』:PR -
長濱ねるが、嫌いだった自分を許せるようになるまで
FRISK:PR -
空気階段が大学中退ニート&バイトの苦しい日々を“転換”させた先に
FRISK:PR -
「奪われたものは取り返すつもりで生きていく」FINLANDSが4年ぶりのアルバムで伝える、新たな怒りと恥じらい
FINLANDS『HAS』:PR