BABYMETALプロデューサー・KOBAMETALが語る「生きづらさを解消するメタル的発想」

2021.4.30

文=谷岡正浩 編集=森田真規


BABYMETALのキラーチューン「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の印象的な一節に、「昨日(イエスタディ)までの 自分サヨナラ(バイバイ!)」がある。BABYMETALプロデューサーのKOBAMETAL曰く、ヘヴィメタルの最大の特徴は「もうひとりの自分を解放してくれること」にあるのだと言う。

そんな“メタル”が、現代社会の生きづらさを解消する特効薬になるのではとKOBAMETALは力説する。BABYMETALの青写真をどのように描き、道なき道を歩むことを決意したのか──KOBAMETAL的発想の原点を紐解く。

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変身こそがメタル

──とにかくメタル目線で世の中を見てみようというKOBAMETALさんのエッセイ「メタルか? メタルじゃないか?」(『ダ・ヴィンチニュース』で隔週連載中)、おもしろいですね(笑)。

ありがとうございます。ほとんどメタル大喜利みたいになっていますが(笑)、やってみたら意外とマジメに世の中とリンクしたり。

──その中で印象的だったのが、「変身こそがメタルなのだ」と言い切っているところです。

メタルバンドの多くはTシャツにジーパンでステージには上がらないし、そこにはやっぱりレザージャケットみたいなわかりやすい正装があるわけですよね。それに、あんなに攻撃的なサウンドの音楽を志向しているんだけど、やっている人たちは当たり前ですが、普段は普通なんですよね(笑)。それがメタルという音楽をやる瞬間に変身するわけです。それはたとえて言うなら、変身ヒーローそのものというか。プロレスラーのマスクも同じ効果だと思うんですけど。僕はそこがすごく大事なところだと思うんですよね。

KOBAMETAL氏/Photo by Susumu Miyawaki(M-PROGRESS)

──つまり、実社会においても通用するカギみたいなものがあると。

はい。たいていの人は、会社や学校という、あるひとつのコミュニティに属していく瞬間というのがあると思うんですよ。町内会でもなんでもいいんですけど。そのコミュニティの中で必要な役を見つけて、そこにきちんとハマれていれば生き生きしていけるんでしょうけど、その役に出会えなかった人たちはどうしても鬱々としていってしまうと思うんです。
そこで僕が思うのは、どう考えてもハマり役のない世界だけで生きていこうとするのではなく、もうひとつ別の世界に飛び込んだほうがいいのでは?ということです。別にそれは、転職しようとか転校しようって言っているんじゃなくて、バーチャルの世界でもいいと思うんですよね。自分の中にもうひとつ別のキャラクターを作ってしまえばいい。先ほども言いましたけど、変身ヒーローみたいなもので、普段は生身の人間なんだけど、夜家に帰ったら変身して違うキャラクターになる、みたいな。そういう意味では、ネット社会って可能性がたくさん転がっているような気がするんですよ。場合によっては、バーチャルでやっていることがリアルなビジネスにも発展しますからね。

──そうやって、もうひとりの自分がネットの世界で居場所を見つけて稼げるようになったら、リアルとバーチャルの逆転現象が起きますね。

そうですよね。コンビニでバイトするよりも、ゲーム実況とかライブ配信しているほうが稼げるっていう人は、もうそっちが主ですよね。つまり、リアルなわけですよね。だから、ずっと嫌なことを我慢しているんだったら、ほかの仕事なり違う世界なりに飛び込んでみたほうが、おもしろいことが待っているかもしれないし、自分には合っているかもしれない。

自分の居場所をいかに見つけるか

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谷岡正浩

(たにおか・まさひろ)フリー編集者・ライター。情報誌『ぴあ』元編集長。構成を手がけた主な書籍に、『ラストデイズ 忌野清志郎 太田光と巡るCOVERSの日々』、『村西とおる語録集 どんな失敗の中にも希望はあるのでございます』(共にパルコ出版)などがある。

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