『M-1』優勝後、その漫才がさまざまな切り口から語られたマヂカルラブリー。
高い評価を受けている村上のツッコミのルーツ、コンビの変化、そして彼らが目指す「お笑い王」の先の未来とは――。
師匠・鈴木拓に教えられた「強いツッコミ」
──村上さんのツッコミの師匠は、ドランクドラゴンの鈴木拓さんだと伺ったのですが。
村上 そうです、そうです。
──そうなるに至った、具体的な経緯を聞いてもいいですか?
村上 2010年くらいかな、僕、下北沢のバーでバイトをしていまして。鬼ヶ島のおおかわらさんと一緒に働いてたんですよ。おおかわらさんは拓さんと仲がいいので、よく拓さんが遊びに来てくれていて。そのころの僕はまだまだ「ツッコミってどういうものなんだろう?」って感じだったんです。
──模索していたんですね。
村上 はい。当時は「ツッコミが山里(亮太)さんに似てる」とかも言われていて、意識せざるを得なかったりもしたんですよね。ツッコミでも気の利いたことを言って、野田のボケの部分だけじゃなくて、僕のワードでもウケるみたいなことが要るのかなあ、って。でもそれって、誰にでもできることではないし。そんな話をしていたら、拓さんに「ツッコミって、思ったことを大きい声で感情のまま言ってウケるほうが強くないか?」って言われたんですよ。
──なるほど。
村上 ケツバットされて痛いときに「お尻取れたかと思ったわ」って言うか、「痛ぁい!」って言うかってたとえ話をされて。確かに「痛ぁい!」って言ってる人のほうがかわいいし、おもしろいなって思ったんですよね。拓さんのツッコミに対する考え方を知って、ようやく自分の道がはっきりしたんです。
──野田さんはどう考えていましたか? ツッコミについてはずっと村上さんに委ねていたのでしょうか?
野田 組んで最初のころは台本を書いたこともあったんですけど、セリフを追うより、やっぱりその場でできたもののほうがウケがいいんです。俺はネタ合わせのときの初見を大事にしてるんですよ。ボケを(村上が)笑うかどうか。でも俺が「こうボケるからこうツッコんで」ってあらかじめ言っちゃったら、初見の反応がわかんなくなるじゃないですか。そうするとどうしても冷めちゃう。だから、やりながら作っていくのが結果的に一番しっくりきたんですよね。何より、早く作れるし。
──では野田さんがボケて、村上さんがそれにどう反応するかがネタに反映されていくわけですね。
村上 そうですね。拓さんに言われたあたりから、それまでうっすらとあった僕のキャラみたいなものが抜けていくんですよ。それまでは「優しい国語の先生」みたいなニュアンスがあったんですよね。
野田 うん。2009年くらいかな。
村上 だから、それまで僕は野田に対して「てめえ」とはけっして言わなかったんですよ。でも「思ったことをそのまま」というツッコミの道が見えたあたりから、若干口が悪くなっていくんです。「てめえ、いい加減にしろよ」とか。そうやって僕のほうが変化していて、実は野田氏はそんなに変わってないんですよね。
野田 そう、意外とそうなんすよ。過去の映像と今とを見比べると、変わってるのは村上のツッコミなんすよ。
村上 2010~12年くらいかな。拓イズムが浸透していったんです。
──衣装や体型が変わったから、一見野田さんのほうが大きく変化したように思ってしまいますが。
野田 実はそんなに。
村上 野田は「シャツ着てネクタイ締めたんだ」って、見た目がわかりやすく変わった。僕のほうはじわじわ変わってったんだよね、たぶん。
野田 ゆるやかに。
村上 だんだん、口が悪くなってったんだと思う。
野田 だから俺だけで言えば、今でも昔のネタをやれるんですよ。でも、結局やらなくなっていきましたよね。それは村上のツッコミが違うから。
村上 え、じゃあ野田さん、当時「こいつツッコミ変えてきてんな」って思ってたってこと?
野田 「変えてきてんな」っていうより、「このネタはやりたくなくなってきてるだろうな」とかは感じながらやってた。
村上 そうなんだ。そういうの何もしゃべったことないし、「こういう感じでいくけどどう?」とかも言ったことないけど。
野田 やりやすいですよね、今のほうが全然。ネタ作るのすっごい早いんすよ今。「ネタ作りタイムアタック」したら、たぶんかなり上位にいっちゃいますよ。
村上 僕ら本当にめっちゃ早いと思います。こないだ新ネタライブがあったんですけど(『新春大宮セブン寄席』)、そのときは2分でできました。
野田 最後まで作ってない状態で舞台上がってますから。
村上 ちょっとやって「こうなってこうね。この感じでやろう」くらいしか言わない。一概には言えないけど、早いほうがいいネタになったりもするんだよね。
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