「矢部くんの気持ちを理解してなかった」『ナイナイANN』作家・小西マサテルが振り返る26年

2021.1.28

『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)が始まったのは、1994年4月。当初は月曜2部(27時〜29時)を担当し、7月から木曜の1部(25時〜27時)を担当することになる。岡村隆史23歳、矢部浩之22歳だった。

2014年9月に矢部が卒業した時点で、放送回数は1000回以上。『オールナイトニッポン』において歴代最多放送回数を誇り、その後も『岡村隆史の〜』として番組は継続。2020年5月からは矢部が復帰し、『ナインティナイン』として再びのスタートを切った。

この26年間、常にふたりと同じラジオブースの中で過ごし、一番近くでその日々を見つめてきた人物がいる。番組の作家、小西マサテルである。

結成30周年を迎えたナインティナインの歴史と魅力を、小西が語る。

【総力特集】ナインティナインの30年

ナイナイと出会った26年前のこと

小西マサテル(こにし・まさてる)/写真=本人提供

ナインティナインと出会ったのは1994年。『ナインティナインのオールナイトニッポン』が1部に昇格したときです。

7月に昇格することになり、その前に吉本の銀座7丁目劇場に当時のディレクターさんと一緒に挨拶に行ったんです。グイグイとタレントを引っ張る、敏腕かつ剛腕タイプの方でした。

「最初が肝心だから、俺、彼らを呼び捨てにする。小西も呼び捨てにしていいからな」って言われて楽屋に入っていったんですけど、岡村くんはホームシックの真っただ中で、東京の街そのものを敵視してる感じで目も合わさない。そんなピリピリした雰囲気で、自然とディレクターさんも「岡村くん」って呼んでました(笑)。で、まず、今やってるコーナーをどうしたいか聞いたら、目を見ることもなく「全部変えたいです」って。まぁ、笑っちゃうくらい、取りつく島もありませんでした。

大きく変わったのは、同世代の神田(比呂志)ディレクターに変わってから。1、2カ月で番組が軌道に乗り始めて、ガラッと空気がよくなりましたね。ふたりがリスナーとの絆みたいなものを感じ始めて、おもしろくなったんじゃないですかね。やる気を出し始めたら俄然前に出てくるのが岡村隆史という男で、頼んでもないのにコーナー会議で宿題を提出してきたりしました。「これ誰が考えたの?」って聞いたら「僕です」って(笑)。

それで始めたのが「僕は生きている」ってコーナー。「中学のときチャリンコを派手なミラーにデコるとテンションが上がる。僕は生きている」みたいな、ちょっとシュールな感じだったんですけど。つい1、2カ月前まで目も合わさへんかったのが、自らコーナーも考えるようになるなんてえらい変わりようやなと思いましたね。

マジメな岡村、「ツッコミ」がメアドだった矢部

岡村くんの信条でもあると思うんですけど、僕も含めてスタッフとは独特の距離感があって、あんまりベタッとした関係にはならない。友達ではなく、あくまで仕事の相手。だから逆に、たとえば神田さんが番組を辞めるときには「これでふたりで飲めますね」みたいに、仕事仲間から友達になる。それくらいちゃんと区分するマジメな性格なんです。

ラジオに来るとき、ふたりとも基本的にはオシャレなんですけど、今、岡村くんはホンマにカバンから何から全部黒ずくめ。前はジャージとかだったんですけど、今は小ギレイな感じの服なんです。やっぱり今、彼が戦ってるのは年齢やと思います。なぜ急におしゃれになったのか? わからないですけど、まさかとは思いますけど、何かあるのかもしれないですよ(笑)。(※この取材の直後、岡村は結婚を発表した)

番組でよくネタにされてますけど、神田さんは恐ろしく仕事ができる一方で、酒に飲まれるタイプで、飲み会ではよくケンカしてました。お好み焼き屋で「おまえら、全然おもしろくないんだよ!」って神田さんが言ったら、岡村くんが鉄板に飛び上がって「おもしろくしたるがな!」って言いながらスニーカーがジュ~って焼けてたっていうエピソードがあります。そのぶつかり合いがあったから絆が深まったみたいな美談になってるんですけど、実際はただ酒癖の悪いディレクターさんだったって話ですよ(笑)。

それを矢部くんが、プロデューサー的感覚で俯瞰的に見て笑いにしてた感じが、当時からありました。一般的にナインティナインって岡村くんのほうが笑いに前のめりで、矢部くんはニュートラルというか、そこまで入れ込んでないイメージがあるかもしれないですけど、ひょっとしたら逆かもしれないです。何があっても笑いでなんとかしようという感覚が働くっていうのはむしろ矢部くん。なんといっても、矢部くんの当時のメールアドレスが「[email protected]~」ですから(笑)。めちゃくちゃお笑い好きやんって。

「岡村くんがいない焦燥感があった」


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