「なんでもないことが一番好き」
渋谷 「あぶく」は歌詞を見ると、不倫の歌にも思えるんですけど……。
さとう 主人公は40歳くらいのイメージで、昔すごく好きだった人がいたけど、その人とはうまくいかなくて、2番目くらいに好きだった相手と結婚してしまった人。私としては“運命の人”っている気がしていて、でも人生そんなにうまくはいかないから、運命の人とずっと一緒にいられるかどうかはわからないと思うんです。そういう誰にも言えず眠りつづける想いってあるよなぁ……と思って、作った曲です。
渋谷 大人なイメージなんですね。さとうさんの曲はわりとティーンに近い主人公の曲が多かったような気がするんですけど、大人への移り変わりみたいなものを感じたりするんですか?
さとう う~ん、でもやっぱりまだ大人のことはあんまりわからないですね。「あぶく」もちょっと年上の友達からいろいろな話を聞いて作った曲だったので、私の心はまだティーン寄りかもしれないです。
渋谷 なるほど。8曲目が「アイスのマンボ」。これは『THE WONDERFUL VOYAGE』(2015年)収録の「Girl of 31!」につづくアイス曲ですね。
さとう やっぱり夏といったら真っ先にアイスが思い浮かぶし、あとサーティワン(アイスクリーム)が好きで絶対にいつかCMソングになってほしいと思っていたので、「次こそはサーティワンの方に届いてくれ!」という想いで作りました。
渋谷 これは浦上想起さんに「マンボ調にアレンジしてほしい」ってお願いしたんですか?
さとう そうですね。私が作っていたデモが「ナイアガラ」(※編集部注:大滝詠一が主宰していたレーベル。また、彼が作る曲は「ナイアガラ・サウンド」などと呼ばれている)みたいな、昭和歌謡の雰囲気があったんです。そこから「マンボみたいにしたい」とお伝えして、めっちゃいいマンボを作っていただけました。
渋谷 もとはナイアガラだったっていうのが、少し驚きです。この曲が入っていることで、アルバム全体のバリエーションに広がりが出ていると思います。そして9曲目の「My friend」。これは僕、一番好きですね。さとうもかの真骨頂だなって思いました。
さとう うれしい!
渋谷 “席替え”というテーマだけでこんなにもいい曲になるとは。こういうなんでもないような瞬間をすくい上げるのが、ほんとお上手ですよね。
さとう 自分の性格的に、なんでもないことが一番好きなのかもしれないです。
渋谷 ドラマチックなことよりも?
さとう 旅行とかに行くよりも、仲よい人とダラダラしゃべってることのほうが楽しいみたいな。
渋谷 楽しいし、そっちのほうが創作の刺激にもなるってことだよね。
さとう そうですね。正直、旅行とか行って創作に活かせたことがないんですよね。私の中では歌うことって、友達に話す感覚に似ているというか。「自分の話を聞いてほしい」みたいなときもあれば、「こういうことあるよねぇ。つらくない?」みたいな、そんなテンションで歌ってることもあります。
関連記事
-
-
「奪われたものは取り返すつもりで生きていく」FINLANDSが4年ぶりのアルバムで伝える、新たな怒りと恥じらい
FINLANDS『HAS』:PR -
牧場バイトからアイドルへ、かてぃが歩んだ多彩な仕事遍歴
求人ボックス:PR