2020年の夏を彩った一枚、さとうもか『GLINTS』。“稀代の才能”に渋谷直角が迫る

2021.1.17

ユニコーンにも通じる自由さ

さとうもか – 愛ゆえに

渋谷 4曲目の「愛ゆえに」。「私を傷つけるあなたが/私の痛み止めでもあったんだ」っていう終盤のフレーズが、めっちゃ切ないですよね……。

さとう 傷ついたり傷つけ合ったりする恋愛でも、そのふたりの中ではちゃんと成立していて、居心地がよかったんだろうなって。それがなくなることのほうが怖いって人も多いと思うんですよね。

渋谷 だから曲としては、この主人公の恋愛を肯定も否定もしてないっていうスタンスなんですね。そういう複雑な感情を「愛ゆえに」って言葉でうまくまとめたなぁって感心しました。次の曲が「パーマネント・マジック」ですけど、これも恋愛としてはけっして満たされてない。

さとう そうですね、「愛ゆえに」の主人公と仲よくなれると思います(笑)。でも「パーマネント・マジック」の主人公のほうが自分の状況を認めた上で、ちょっと浮ついてる感じですね。

渋谷 本命の彼女じゃないって、自分で割り切ってるところもあるんですかね。だけど、資料によるとこの曲は「魔法系アニメの主題歌のイメージ」なんですよね? どんなアニメだよって思うけど(笑)。

さとう 禁断の恋魔法「パーマネント・マジック」の曲なので(笑)。これはちょっと『おジャ魔女どれみ』とか(『うる星やつら』の)「ラムのラブソング」とかのイメージがあって。80~90年代の昭和の音楽をイメージして松浦正樹さんとバンドメンバーと一緒に作ってもらったんですけど、昭和の曲そのままというよりは、今の人がやる昭和の曲みたいな雰囲気になったらおもしろいかなと思っていたんですよね。

渋谷 次の「Strawberry Milk Ships」は、一瞬問題作かな?って思っちゃった(笑)。この軽さはなんなんだっていうか。どういうところから始まった曲なの?

さとう 4年くらい前に「“今年最初の曲”を作ろう!」と思って、お正月に作った曲。無意味に野球チームの曲を作ったんですけど、そんなに印象にも残らないしボツにしたんですよ。それで長らく忘れてたんですけど、デモを大量に入れているフォルダがあって、それをバンドメンバーやマネージャーさんに聴いてもらったとき「この曲かわいいし楽しいね!」と言ってもらえて。最終的にアルバムのテーマが夏だったから、今年の夏は甲子園もないし入れようってなりました。

渋谷 「野球詳しくない感」がすごい出てるよね(笑)。

さとう 野球については……プロ野球チップスくらいしか知らないです(笑)。

渋谷 実はこの曲にユニコーンっぽさを感じたんだよね。

さとう ほんとですか!?

渋谷 アレンジも自由にふざけて入れていくんだなって。いい感じにハマっていますよね。この前の曲は恋愛の重々しい感じで、このあとに「あぶく」が来たりする、その情緒の振り幅がすごいと思いました。

「なんでもないことが一番好き」


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