2020年の夏を彩った一枚、さとうもか『GLINTS』。“稀代の才能”に渋谷直角が迫る
ひとつのウイルスの存在に、世界中の人々が翻弄された2020年。誰もがいつもと違う日々を過ごすことになったこの夏、音楽ファンの間で話題になったアルバムが岡山在住のシンガーソングライター・さとうもか『GLINTS』だ。
アルバムがリリースされた直後の8月5日午前1時、「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音はこんなツイートをしている。
そして、さとうもかの魅力にいち早く気づき、『POPEYE』(2019年11月号)の音楽特集号などで彼女のことを紹介してきたのが漫画家、コラムニストの渋谷直角氏である。
『GLINTS』とシングル『melt bitter』のアナログレコードが2021年3月24日にリリースされることが発表になったこのタイミングで、直角氏を聞き手に迎えた、さとうもか本人による『GLINTS』全曲解説のインタビューをお届けします。
まずは直角氏の“さとうもか邂逅エピソード”と、それにまつわる描き下ろしイラストからどうぞ。
※取材はZoomを利用して、『GLINTS』リリース直後の2020年8月に行いました。
目次
さとうもかは今、“ポップ・ザウルス”へと進化中!?
さとうもかさんを知ったのは、実は「まんだらけ」渋谷店でした。貸本漫画や昭和30年代の劇画が置いてあるビンテージ・コーナーで物色していたら、当時P-VINEだったIさんに偶然出会い(この人もビンテージ漫画好き)、「今、担当しているミュージシャンがいまして」と教えてくれたのが、ちょうどリリースしたばかりの『Lukewarm』だったのです。
だから僕の中では、あの「まんだらけ」のドロッドロにディープなコーナーと、さとうさんの紡ぐキラキラした女の子の世界が混ざって聴こえてきて、なんとも不思議なポップ・ミュージックという第一印象。人懐っこいメロディメーカーとしても、「恋をすると人間になっちゃうって、ママの言ってたことは本当だね」という恋愛のトキメキを描くための切り取り方のセンスも、ちょっとほかのシンガーソングライターとは違う、貸本漫画の世界にも似た底知れなさ、奥深さを彼女に感じたのです。
以来ずっとさとうさんの活動をファンとして追いかけていますが、その第一印象は変わることなく、ますますポップスとして洗練されていき、同世代の女の子たちの支持を集めていく(ライブ会場には、さとうさんみたいな格好の子がいっぱいいる!)様子は頼もしくもあり、(う〜む、これは稀代の才能と出会っているのかもしれない)という驚きと感動が毎回あり、みたいな。
さとうさんの作る音楽が変わってきた、と個人的に感じたのは今年からです。それまではどこか内省的、シンガーソングライターらしいパーソナルな視線から生まれる音楽という印象でしたが、シングル『melt bitter』、そして8月に出たアルバム『GLINTS』は、明らかに自分の部屋から出て、外の世界、世の中の人々に向けて歌おうという意思を感じられる作品。
地元である岡山のバンドメンバーや、さとうさんと近い世代のアレンジャーたちと一緒に、これまでより大きな「等身大の姿」を見せ始めた印象で。「まだまださとうもかの全貌、見えてなかったんだな」という反省と、これからどうなっていくのだろう、というワクワク感がある。単なるメジャー志向、というのはちょっと違って、自分のこれまでのお気に入りの洋服やアクセサリーをつけて、まだ見知らぬ新しい友達を作りにいくような、ポジティブな気持ちを感じたのです。
今、さとうもかさんは大きな変動の前、もしくはその途中?なのかもしれない。だから改めて、「さとうもかってなんなんだ?」というのを本人に聞いてみるインタビュー。ますますポップ・ザウルスに進化していく途中の彼女の「今」を、感じられたら。
2020年11月26日 渋谷直角
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