9月26日(土)に行われた『キングオブコント2020』は第1回から出場をつづけているジャルジャル(後藤淳平、福徳秀介)の優勝で幕を閉じた。苦悩と喜びを真摯に語る新チャンピオンの記者会見を取材した。
「さすがにつらかった」芸歴18年目のチャレンジ
記者会見冒頭、13回目の挑戦でキングを掴んだことについてコメントを求められてひと言目に福徳が語ったのは「苦悩」だった。
福徳 同じくらいの芸歴の芸人さんたちが辞退していくなかで僕らはしつこく出つづけてて、芸歴も17、8年になってきて。若手が輝くべき大会に僕らが出ていいのかという不安もあったんですけど、でもどうしてもチャンピオンになりたくて、優勝したかったので挑みました。本当に諦めずしつこく挑みつづけてよかったなと今心の底から思います。
同日深夜にParaviで配信された『キングオブコント2020大反省会』でも、バイきんぐ小峠に「いやあ、意地だな。意地を感じた」と言われて福徳は「優勝するまで出つづけるといっても、さすがにきついなっていう雰囲気はあったんですよ。(予選に)まだ来るんか、っていう」と改めて答えている。結成15年未満という条件のある『M-1グランプリ』と違い、ずっと出つづけられる『キングオブコント』。ベテラン勢は苦悩しつつ、けれどこんな日を夢見て出つづけるのだろう。
ネタ選びをあと押ししたYouTubeのコメント
1本目に選んだ『野次ワクチン』のネタは昨年の単独ライブで手応えのあったもの。そして上位3位による決戦でジャルジャルが選んだ『空き巣』のネタは、彼らがYouTubeに毎日アップしつづけている「ネタのタネ」のひとつ。しかも、ボツネタだったという。
福徳 10年くらい前の案であったネタで、単独ライブでもやらず、ずっとボツにしていたんです。YouTubeのために撮影してみたら思いのほかスタジオの反応もよく、YouTubeのコメントもいい反応やったんで、もしかしたらこのネタはKOCに向いているんじゃないかと。
後藤 YouTubeに上げるものはネタになる前の「ネタのタネ」と呼んでるんですが、まさにタネが花開いた。お客さんの前でやることを想定していなかったネタが、まさかKOCの2本目に持ってこれるまでに成長してくれたことがうれしいですね。
ネタ数が多いだけに、これまで幾度となく「ネタ選びを失敗している」と言われつづけてきたジャルジャル。今年は自分たちでネタを選び、ふたりの意見もズレることなくこの2本で行くことが数秒で決まったという。YouTubeに毎日ネタを上げるようになって2年半、800本以上のネタを上げつづけてきた彼ら。大反省会で「本ネタになってんの、2、3本だから打率悪過ぎるんですけど」と後藤は笑いながら話していたが、そのひとつが見事に彼らを王者にした。
吉本の強さ
福徳 吉本は劇場が多くて、この状況下でも1日3ステージとか、場合によっては6ステージもありました。どう考えても利益にならない状況なんですけど、それでも芸人のために舞台を用意してくれた。
後藤 今年の決勝に吉本の芸人が多いっていうのは、本当にそれが理由だと思いますね。
今年のKOCは、10組中実に9組が吉本所属。例年、決勝進出者の約半数が他事務所であったことを考えると、吉本以外の芸人にとっては今年、極端に狭き門になった。その理由を「舞台に立てた」ことと語ったジャルジャル。今年唯一、吉本外から決勝に進出した「ザ・ギース」が準決勝以降、一度も客前でコントを披露する機会がなかったことを思うと、やはり劇場を持つ吉本のアドバンテージは大きいと言わざるを得ない(「ザ・ギース」尾関は決勝まで毎日カラオケに通い、喉を開いていたという──『キングオブコント2020大反省会』)。すべての芸人が対等に戦うためにも、劇場を持っていない事務所も元どおりライブを行える日常が戻ってきてほしい。
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