本日決勝『キングオブコント2020』超常連組、初出場組、2年連続組、決勝進出10組タイプ別早わかりガイド

キングオブコント2020

文=釣木文恵 編集=アライユキコ


本日、9月26日(土)19時より、TBS系列にてコントの日本一を決める賞レース『キングオブコント2020』が放送される。13回目となる今大会の決勝でしのぎを削る10組を、お笑い大好きライター・釣木文恵が、特徴ごとに3つのカテゴリに分けて解説。


1.決勝4回目! 超常連の4組

今年は、何度もキングオブコント(以下、KOC)決勝に勝ち進んでいる強者が4組もそろっている。しかも、全組そろって決勝進出4回目。「今年こそ決めたい」思いはどの組も同じだ。

「GAG」──変幻自在の魅力で

「GAG」(左:坂本純一/中:福井俊太郎/右:宮戸洋行 吉本興業)
「GAG」(左:坂本純一/中:福井俊太郎/右:宮戸洋行 吉本興業)

4年連続決勝進出。過去3年で最下位→8位→4位(ジャルジャルと同点3位で決選投票の末)と着実に順位を上げているGAG。彼らの魅力のひとつに、3人の関係が変幻自在な点がある。誰がボケで誰がツッコミと決まっておらず、ネタごとにトリオならではの関係性が築かれていくそのコントは、観れば観るほどクセになる。昨年採点タイムに“キングオブ昆布”を出して「夜中の海のよう」な空気を生み出した坂本が、今年どんな振る舞いを見せるかも見守りたい。

「ザ・ギース」──唯一の吉本外

「ザ・ギース」(左:高佐一慈/右:尾関高文 ASH&Dコーポレーション)
「ザ・ギース」(左:高佐一慈/右:尾関高文 ASH&Dコーポレーション)

昨年の準々決勝敗退を経て蘇ったザ・ギース。KOC第1回の決勝を知るコンビが、今大会唯一の吉本外からの決勝進出者となった。シュールとかスタイリッシュとか言われがちだが、たったひとつのコントのために特殊技能を磨く高佐の姿はむしろ泥くさいほど。設定で、展開で、観る者に思いがけない驚きをもたらすのが彼らの魅力。今年こそ、ふだんライブの観客に与えているインパクトがそのままお茶の間にも伝われば、例年以上の結果がもたらされるはずだ。

「ジャルジャル」──桁違いの発想

「ジャルジャル」(左:後藤淳平/右:福徳秀介 吉本興業)
「ジャルジャル」(左:後藤淳平/右:福徳秀介 吉本興業)

これまで作ったネタは実に8000本という彼ら。1年目から計13回すべて準決勝以上という戦績を誇る。最近は実際の旅館を舞台にしたライブ、福徳と後藤のふたりがそれぞれコントをして合流するライブなど、ますますほかの芸人には真似のできない独自の道を突き進んでいる。賞レースでの彼らの姿は、『R-1ぐらんぷり』に出場していたころのバカリズムのよう。発想の大きさがひと組だけ桁違いなのだ。枠組み自体を新たに生み出しているような彼らの”ジャンプの高さ“を楽しみたい。

「ジャングルポケット」──人気者の挑戦

「ジャングルポケット」(左:おたけ/中:太田博久 右:斉藤慎二 吉本興業)
「ジャングルポケット」(左:おたけ/中:太田博久 右:斉藤慎二 吉本興業)

2015年から2017年の3年連続決勝に進出するも、斉藤の「いったん区切りをつけたい」との意向で、昨年は出場自体を取りやめたジャングルポケット。その間にも全国で新ネタライブを行うほか、『有吉の壁』(日本テレビ)などバラエティ番組での活躍も周知のとおり。もう賞レースに参戦する必要がないとも思われがちな人気者が、あえて戦いの場に戻ってきて、そして勝ち残った。キャラクターが審査員にも視聴者にも浸透している強みがどう出るか。

今回の予告は『RIZIN』や『ダイナマイト関西』などの“煽りV”でも知られる、佐藤大輔率いる佐藤映像の手によるもの。番組中の紹介VTRにも注目したい。『キングオブコント2020』9/26(土) 生放送!!【TBS】

2.大阪勢躍進! 初出場4組

コントも漫才も達者な4組が決勝初進出。特に東京以上に漫才の存在が大きい大阪でコントを磨きつづけた、仲のいいコンビ3組がまとめて勝ち残ったのは大きい。昨年、ビスケットブラザーズが開いたドアが次につながった感がある。

「ニューヨーク」──M-1のリベンジ

「ニューヨーク」(左:嶋佐和也/右:屋敷裕政 吉本興業)
「ニューヨーク」(左:嶋佐和也/右:屋敷裕政 吉本興業)

意外にも初のKOC決勝進出となるニューヨーク。コロナの影響で準々決勝に出場できなくなるも、動画審査を経て決勝まで勝ち上がってきた。昨年の『M-1グランプリ』決勝進出で漫才が先に認められたことになるが、コントならば衣装から細かい仕草に至るまで、彼らの作り出す悪意と偏見に満ちたキャラクターを存分に味わうことができる。M-1決勝で松本人志の講評に「最悪や!」と叫んだ屋敷がリベンジを果たせるか。

「ロングコートダディ」──関西コント界を担う

「ロングコートダディ」(左:堂前透/右:兎 吉本興業)
「ロングコートダディ」(左:堂前透/右:兎 吉本興業)

昨年のM-1で準決勝まで勝ち進んだロングコートダディ。しかし彼らの本分はあくまでもコントだ。『千原ジュニアの座王』(関西テレビ放送)などでその大喜利力が知られている堂前と、愛すべきキャラクター、兎のコンビ。自分よりも盟友たちの決勝進出を知って泣き崩れた堂前、「(大阪勢)3組で優勝したい」と語る兎。彼らの望みどおり大阪の3組が爪あとを残せば、今後の関西コント界は大きく変化するかもしれない。

「滝音」──独自の単語チョイス

「滝音」(左:さすけ/右:秋定遼太郎 吉本興業)
「滝音」(左:さすけ/右:秋定遼太郎 吉本興業)

今年初めて『ABCお笑いグランプリ』決勝に進出した滝音が、その勢いのままKOCでも決勝に。ABCでも漫才を披露したため、一般的にはその印象のほうが強いかもしれない。一人称「アタシ」のさすけ。その特徴的な口調と、”ベイビーワード”と呼ばれる独自の単語チョイスがコントでも観られるだろうか。相方、秋定が演じるキャラクターの逸脱ぶりにも注目したい。

「ニッポンの社長」──身体性の高いネタ

「ニッポンの社長」(左:辻/右:ケツ 吉本興業)
「ニッポンの社長」(左:辻/右:ケツ 吉本興業)

数年前から賞レースで頭角を現し、今年とうとう『ytv漫才新人賞』で準優勝を果たしたコンビ。淡々とした辻の振る舞いと、何かと窮地に陥り、大声を出しがちなケツとのギャップが笑いを生む。彼らのコントには、観ていて爽快感がある、身体性の高いものが多い。さらに繰り返しによって笑いが増幅されていく。決勝の場に思いがけないインパクトを残す可能性のあるふたりだ。

3.去年の雪辱を果たせるか? 2年目のふた組


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釣木文恵

(つるき・ふみえ)ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。

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