空気階段・水川かたまり「文字だけのセックスに没頭」する、セクシー小説の初執筆を振り返る

2020.6.27

文=山本大樹 写真=石垣星児
編集=田島太陽


空気階段・水川かたまりによる初の書き下ろしセクシー小説『アサミ〜愛の夢〜』が、6月26日(金)より順次発売中の『クイック・ジャパン』vol.150に掲載されている。

過去の恋愛へのトラウマから異性との肉体的接触を断ち、チャットセックスにのめり込んでいく青年のいびつな愛情を描いた本作。初の小説執筆を振り返り「本当に頭がおかしくなりそうだった」と語る水川かたまりに、担当編集者がインタビューを行った。

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見ず知らずの異性との、即興での言葉のやりとり。そこには肉体も声も存在しない。文字だけという限られた情報だからこそ、それぞれの内に秘めた人間性が浮き彫りになり、その奥には無限の世界が広がっている。

『アサミ〜愛の夢〜』より
水川かたまり(空気階段)
水川かたまり(みずかわ・かたまり) お笑い芸人。1990年生まれ、岡山県出身。2012年に相方の鈴木もぐらと空気階段を結成。主にコントを中心に活動している

主人公は、大学を卒業してからもダラダラと家庭教師のアルバイトをつづけている青年。過去の手痛い失恋の経験から生身の女性との接触を断ち、チャットアプリで知り合った女性「アサミ」と文字だけのセックスに没頭している。いびつな欲望とピュアな愛情のはざまで揺れる主人公の心情を生々しい筆致で描いた本作は、「エロ」と「SF」を巧みに織り交ぜるコント師・水川かたまりの真骨頂とも言える作品となっている。

テレビと掃除機、唐揚げとレモン、昼と夜……。現実ではあり得ないさまざまな設定を作り上げ、その閉じた世界の中で愛の言葉を交わす主人公とアサミ。ふたりのウィットに富んだ言葉が織りなすエロティックなチャットも見どころだ。

そしてある日、アプリの向こう側にいる「アサミ」の正体に気づいてしまった主人公は、チャットの世界を飛び越えて思い切った行動に出る。青年の暴走するリビドーと不器用な愛の行方は、果たして――。


執筆中、枕をふとんに叩きつけた

7月10日(金)には、今回の小説を元にした朗読劇も開催される

――昨日、校了したばかりです。素敵な原稿をありがとうございました。

水川 ありがとうございました!

――最初にセクシー小説の依頼が来たときはどう思いましたか?

水川 正直、けっこう軽く考えてましたね。いつもみたいに、コントを書くみたいな感じで考えてて。でも、思ったよりも大変だったというか……。

――展開の多いストーリーなのに最後まで破綻なく、美しく読ませる文章だったので感動しました。てっきり、スラスラ書けているのかと……。

水川 いやいや、途中で「うわー!」って枕をふとんに叩きつけたりしてました。いつもだったら仕事の合間に喫茶店に行ってネタを書いたりしてるんですけど、今回は自粛期間だったこともあって、家で小説のことばっかり考えてる時期があって。ひとりで煮詰まり過ぎて、だんだん寝てるのか起きてるのかもわからなくなってくる感じでした。

――けっこう苦労されたんですね。普段から本はよく読んでいるんですか?

水川 だいたい小説ばっかり読んでますね。一番好きなのはカート・ヴォネガットの『タイタンの妖女』っていうSF小説で。爆笑問題の太田(光)さんもその小説が好きで、事務所の名前を「タイタン」にしたっていう。空気階段の普段のコントにSFっぽい設定が多いのも、その影響はあるかもしれないです。

――確かに、物語の中でSFっぽい伏線もしっかり回収しているのが印象的でした。今回小説を書くに当たって、初めてチャットアプリにも登録したんですよね。

水川 はい、小説のテーマが「エロチャット」なので、実際にやってみようと思ったんですけど、やっぱり僕は結婚してるしそういうのはよくないなと思って。だから、男性のユーザー10人くらいにチャットを送ってみました。プロフィールに「サッカーが好きです」って書いてある人に「僕もサッカー好きです!」って送ったりしたんですけど、ほとんど返事が来ませんでした。みんなやっぱり女性との出会いを求めてるんですよね……。

下ネタは、良識ある大人も笑えるようにしたい


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山本大樹

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山本大樹

(やまもと・だいき)編集・ライター。1991年生まれ、埼玉県出身。明治大学大学院にて人文学修士(映像批評)。編集プロダクション勤務を経て、2019年に独立。現在『クイック・ジャパン』外部編集・ライターのほか、『BRUTUS』、『オードリーとオールナイトニッポン』シリーズ、『三四郎のオールナイトニッポ..

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