ディグ界の幻影旅団「lightmellowbu」が発見したブックオフというサンクチュアリ

2020.2.16

ディグの未開拓地はまだまだブックオフの棚の中に広がっている……かも

シティポップの流行が一段落し、それが編曲者や演奏家の音楽的語彙のひとつとして並列化された80年代後半から90年代。この時期になると、丸々1枚それらしい音楽に挑んだ作品というのは急激に少なくなる。そんななかで「アルバムに1曲こういうのも入れておくか」くらいの軽い心持ちで吹き込まれたであろうシティポップ/AOR調の曲を探し求めているのがlightmellowbuのbu員たちなのだ。

そんなディグの荒野では、80年代末から90年代前半に濫造された、ガシャガシャとしたギターと単調なビート、溌剌としたボーカルに支えられた表層的なロックや中庸なガールポップに出くわすことが多々ある。これらは「ハズレ」であって、だからこそlightmellowbuには「1曲良い曲があれば名盤の世界」という格言(?)があるのだが、時代が一巡、二巡、いや三巡くらいしたら、私たちはそうした音楽を聴ける耳になっているかもしれない。

日陰者だった90年代シティポップに、こうして光が当てられたように。それまではブックオフという礼拝堂にして墓所に、それら皮相ロックや月並みガールポップは眠らせておくとしよう。

bu活動の起点となったブログ「90年代シティポップ記録簿」を運営するハタや、「次のレアグルーヴはCDからくる」を掲げる「CDさん太郎」を執筆する柴崎、INDGMSK aka 台車、小川直人らは、声優作品やキャラソン、アニメのサウンドトラック、ドラマCDにまでディグ領域を拡大させている。

また、同時多発的に興ったanòutaの「トレンディ歌謡に抱かれて」や佐藤あんこによる「後追いGiRLPOP」などは、lightmellowbuに近いアティテュードでありながらも異なる視点を持つ。

『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』のあとがきに「2000年代はまだ堀りがいがある(が、これだけ探してもないなら『ない』のかもしれない)」とあったように、ディグの未開拓地はまだまだブックオフの棚の中に広がっている、のかもしれない。そこに新しい価値を聴き取れるかどうかは、あなたの耳にかかっている。


lightmellowbu『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド
2020年1月17日発売 2,200円(税別) DU BOOKS


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天野龍太郎

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