お兄ちゃん猫合流
ななとぶんが我が家に来て10日。すっかり馴れてきたころ、先に保護されて、病院で人馴れのトレーニングをしていたお兄ちゃん猫が我が家にやってきた。(身体がほかの2匹より少し大きいからお兄ちゃんっぽいというだけで実際に生まれてきた順番は知らない)
子猫どうしの遊びの中で、じゃれるときの力加減なんかを覚えていくものなので、合流させたほうがのちのちのためなのでは、という配慮からだ。お兄ちゃん、あまり保護猫らしくない(?)ゴージャスな顔立ち。
8月に来たので、仮の名前は「葉月」の「葉」の字を採って「よう」とした。
あとから来て、打ち解けるものだろうか、と心配していたけれど、まったくの杞憂だった。翌日にはすっかり仲よくなっていたけど、それがきょうだい猫だからなのか、子猫どうしだからなのかは、よくわからない。
ただ、ようとぶんのじゃれ合いはとどまることを知らず、息が切れるまで取っ組み合っていて、それが少し心配だった。
今回は3匹なので、里親さんを探すときにはおそらく2匹と1匹、もしくは1匹ずつという感じになる。(万が一「3匹一緒に飼いたいです!」と申し込まれても、さすがにこちらが怯んでしまう)
その際の組み合わせも考えておかないといけないのだ。ようとぶんのオス2匹の組み合わせは、やんちゃ過ぎて里親さんが大変そうだから、やめておいたほうがよさそうだな……という印象。ななは、ぶんともようとも仲よくできそう。
誤食事件
そんなある日のこと。本当にうかつだった。
子猫の出入りできる部屋に立てかけておいたジョイントマットが齧られていた。たぶん「ぶん」だ。
すぐに動物病院の先生に連絡をして、写真も見せた。今回はそれほど大きくは齧られていないようなので、おそらく大丈夫だけれど、様子は観察しておいてください、ということだった。
ジョイントマットが危ないことは『猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑』で読んで、普段子猫がいる部屋からは撤去していたのに……。
この本、テーマが明確で、知っておくべき大事なことが、実例を踏まえながらわかりやすくまとめられている。猫を飼っている人は読んでおくべき一冊だと思う。
ちなみにうちから子猫を譲渡する際は、拙著『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』とこの本をセットで差し上げることにしている。
その後、3匹に特に異変は見られず、事なきを得た。これまでけっこうな数の猫と接してきていて気をつける点はわかっているつもりでも、こういうことは起こり得る。猫は、突然驚くようなことをする。脱走も誤食も注意し過ぎることはないのだ。改めて肝に銘じた。
ちょうどこの一時預かりと同じ時期に、この記事の編集担当であるアライさんからご紹介いただいた『ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと』を読み終わった。
精神科医と歌人が猫を相手に「死」について語る、と。
数年前まで精神科に通院していた猫歌人である僕のための本ではないか、と思った。符合が渋滞している。
……で、読み終えた僕は、感想を書いてアライさんに送ったのだった。以下がその文面。
アライさま
ようやく先ほど読み終わりました!
おもしろかったー。
後半は声を出して笑いながら読みました。
春日さんの医師特有のドライで
リアリスティックな視点の
ちょっと毒のある話を
穂村さんがツッコむでも、いなすでもなく
普通に受け答えしている感じが
なんだろうな……
少し浮世離れしていて、
ドリフの雷さまのコントみたいな印象でした。
特に前半は。
死と生のこと、といいながら
ブックレビュー本としても、
短歌の紹介本としても読めて、
おふたりの博識っぷりも堪能できました。
(中略)
後半、(僕が猫を飼っているからということもあって)
12章以降はドライブがかかってきた感じで、
浮世離れしていた雷さまたちが地上に降り立って
実存としての「偏屈だけどロマンチストな春日さん」と
「へなちょこだけど有能な穂村さん」との
会話になっていって、俄然おもしろくなりました。
12章の穂村さんのロブスターのエピソードと、
195ページのマンガが秀逸で、
吹き出してしまった。
終章の春日さんのホテイのやきとりと
英会話教室のエピソードでぐっときました。
語り口や話の行ったり来たりが心地よくて、「この本は『読むポッドキャスト』みたいだ」と思った。
さて、このあと、本格的に3匹の里親さんを探すことになるのだけれど、それはまた改めて。
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『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』(仁尾智 短歌・エッセイ/小泉さよ イラスト)
(たぶん)世界初の猫歌人・仁尾智が、これから猫を飼う人に伝えたいことを11の短歌と短いエッセイで綴る。人気イラストレーター・小泉さよの水彩画はすべて描き下ろし。
定価:1,430円(税別)
サイズ:A5/48ページ
発売日:2021年8月5日
発行:辰巳出版関連リンク