女性は待たないといけないの?
このシーンは、5話冒頭のキスごっこをしていた場面が伏線となっている。
キスの話題で盛り上がっていた女子たちが「ロマンチックな求愛を競うゲームをやろう」と言って演劇ごっこを始める。
王子様を演じるダイアナと、お姫様を演じるティリー。ダイアナはティリーの頬にキスする。
それを見たアンが「女性は待たないといけないの?」と言うと、「そんなの当たり前じゃないの!」とみんな大反論。
それでも、アンは「キスしたいと思ったら、私は自分からキスしたい」と主張する。
その実践として、アンからコールの頬にキスする場面につながるのだ。
容姿をチョイスできない現実に
もうひとつ印象的に使われていたワードはchoiceだ。
一度目のキスゲーム場面。ジョージー・パイがコールに「来てくれてうれしい」と言う。コールは「断れなさそうだった」と答える。この時「choice」という単語が使われている(Didn’t have much of a choice.)。
これは、ギルバートと黒人のバッシュの会話で使われていたワードだ。
「海に捨てられるか、便所掃除なら、海に捨てられるほうを選ぶよ」(If my choices were that or latrine duty, I might take my chances with the Atlantic.)
「選ぶか、いい言葉だ」(Choices. I like that word.)
アンも自分の容姿をチョイスできない現実に悩んでいる。
ダイアナから「ほめられればうれしい。でも(アンのように)賢いほうがいい」と言われようとも、マリラから慰められようとも(マリラ大失敗である)、アンは自分の容姿に不満を持っている。
行商人からサンドイッチと交換で手に入れた髪染めで、髪を黒くするが怖くなって、漂白剤で色を抜こうとして緑色の髪の毛になってしまう。
これは『赤毛のアン』第27章のエピソード。
「それで私はまともじゃないって思われるの。ああ、マリラ。『ひとたび人を欺くと、なんともつれた網目を織らねばならないことか』という詩があるけど、そのとおりだわ。ああ、ジョージー・パイがどんなに笑うかしら!」
『赤毛のアン』L.M.モンゴメリ 著/松本侑子 訳/文藝春秋
と嘆くセリフもほぼ原作どおり。
ばっさり髪を切ることをチョイスして、第5話は終わる。
次回、第6話は、ショートカットのアンが登場。
『アンという名の少女』
原題:Anne with an “E”
制作:2017年 カナダ
原作:L・M・モンゴメリ
製作総指揮:モイラ・ウォリー=ベケット
キャスト
アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)(上田真紗子)
マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)(一柳みる)
マシュー・カスバート(R・H・トムソン)(浦山迅)
ダイアナ・バリー(ダリラ・ベラ)(米倉希代子)
ギルバート・ブライス(ルーカス・ジェイド・ズマン)(金本涼輔)
レイチェル・リンド(コリーン・コスロ)(堀越真己)
ジェリー・ベイナード(エイメリック・ジェット・モンタズ)(霧生晃司)
Netflixシーズン1から3まで配信中
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