『アンの愛情』の言葉から
さらに、ネイトとダンロップのふたりの仲が悪くなってきている。
ダンロップは、アンの優しさや快活さに心惹かれ、アヴォンリーの村を好きになっているようだ。
悪事を働いていたときの名を捨て、ダンロップとしてアヴォンリーに定住したいという言葉に、嘘はないだろう。
だが、悪党ネイトは許さない。
「おまえはしょせん悪党だ。俺に逆らう気か」とネイトとダンロップは殴り合いの喧嘩を始める。
アンシリーズ3作目『アンの愛情』で、隣人ハリソンさんがアンの書く小説にアドバイスした言葉を思い出す。
「それに悪党を書くなら、チャンスを与えてやる……人生をやり直すチャンスを与えてやるのさ。世間には、たしかに、どうしようもない悪人もいる。だがな、そうはめったにいないさ……もっとも、リンド夫人に言わせると、わたしらはみな悪人だそうだが、たいていは、どっかに少しはいいところもあるもんさ」
(『アンの愛情』L.M.モンゴメリ 著、松本侑子 訳/文藝春秋)
ついでに『アンの愛情』からもうひとつ。大学生になったアンたちの下宿(パティの家!)の世話をするジェイムジーナおばさんの言葉。
「もしみにくい悪魔がいたなら、たいした悪さはしません。私が思うに、悪魔は、ハンサムな紳士の姿をしているのですよ」
(『アンの愛情』L.M.モンゴメリ 著、松本侑子 訳/文藝春秋)
このハンサムな紳士の姿をしているのは、まさにネイトではないか!
美少年コール登場
もうひとり新しい人物が登場する。
ビリーから「おじょうさん」とからかわれる中性的な美少年のコールだ。
絵が好きで、授業中も絵を描いていて、先生から怒られる。
彼も、アン同様、想像力の使い手だろう。
マリラが、幽霊を怖がるアンに、こう言う。
「いつか後悔するでしょうよ、想像力なんてものに頼ったことを」
この言葉は、ネイトやダンロップに騙されて、ありもしない金を想像しているアヴォンリーの人たちに向けるべき言葉だろう。
アンは、それにこう答える。
「そんなことない。孤児院にいたころ、もっと想像力があれば気持ちが楽だったはずよ。マリラやマシューとグリーン・ゲイブルズで幸せに暮らすことを想像できていたら」
想像力を誤って使ってしまうか、うまく使いこなせるのか。
「小さなしるしは測定できるが、その解釈は無限」である。
通学の道で、ダイアナはアンに言う。
「想像力はあなたの才能なのよ」
アンは答えるのだ。
「でも真実が見えなきゃ意味がない」
次回、第3話「本当のものを見るのは心の目」、詐欺事件の決着がつく。アンは、真実を見ることができるだろうか?
『アンという名の少女』
原題:Anne with an “E”
制作:2017年 カナダ
原作:L・M・モンゴメリ
製作総指揮:モイラ・ウォリー=ベケット
キャスト
アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)(上田真紗子)
マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)(一柳みる)
マシュー・カスバート(R・H・トムソン)(浦山迅)
ダイアナ・バリー(ダリラ・ベラ)(米倉希代子)
ギルバート・ブライス(ルーカス・ジェイド・ズマン)(金本涼輔)
レイチェル・リンド(コリーン・コスロ)(堀越真己)
ジェリー・ベイナード(エイメリック・ジェット・モンタズ)(霧生晃司)
Netflixシーズン1から3まで配信中
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