『呪術廻戦』ついに「渋谷事変」開幕10巻、エヴァをリスペクトしているのは、芥見下々か?それとも…

2021.8.10
呪術廻戦サムネ

文=さわだ 編集=アライユキコ 


祝・連載再開! 映画版の公開(今年冬の予定)を待ちながら『ジャンプ』大好きライター・さわだが『呪術廻戦』(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)の既刊を1巻ずつ振り返っていく企画。今回は10巻、凝りに凝ったストーリー構成を解説します(以下考察は、10巻までのネタバレを含みます)。

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究極メカ丸にスポットが当たる

『呪術廻戦』10巻では現段階で最も長い「渋谷事変編」が開幕した。

よく練られていて完成度がすごいのだが、登場人物は多く時系列も分単位なのでちょっと複雑。『ジャンプ』本誌でよくわからなかった人は、コミックスで読み直すと印象が変わるかもしれない。渋谷の実在する街並みが描かれていて、SEGAの人気ゲーム『龍が如く』シリーズの歌舞伎町のような楽しみもある。

また、10巻の前半部分は、人気キャラの究極メカ丸(アルティメットメカまる)にスポットが当たる。メカ丸とは、不自由な身体と引き換えに莫大な呪力を手に入れた与幸吉(むた・こうきち)が遠隔操作するロボット(傀儡)で、呪術高専京都校の2年生だ。

おそらく同級生も与幸吉の名前を認識していないため、誰も幸吉の名前を口にしない。読者からも幸吉とメカ丸をひっくるめて「メカ丸」と呼ばれることが多い。仲のよかった三輪霞(みわ・かすみ)にすら本名を呼ばれなかったので、この記事ではしっかりと呼び分けていきたい。

「ロボットアニメ×呪術廻戦」

8巻のラストで、幸吉が夏油傑(げとう・すぐる)ら呪霊軍団に情報を流す内通者だったことが発覚する。幸吉の目的は、真人(まひと)に不自由な身体を治してもらうため、そして大好きな京都高の面々に会いに行くためだ。ただ自分の都合で裏切ったわけではなく、呪霊軍団の情報を呪術師たちに流す目的も持っていた。

幸吉は自由な身体を手に入れると、「京都校人間には手を出さない」の約束を破った呪霊たちに牙を剥く。といっても、初めてまともに動かす身体だ。戦えるわけもないので、コツコツと作り上げた究極メカ丸絶対形態(モード・アブソリュート)“装甲傀儡究極メカ丸試作0号”に乗り込む。長ったらしく厨二病感たっぷりのネーミングは、17年間引きこもりっぱなしだった幸吉ならではだ。

メカ丸試作0号の大きさは、マジンガーZとかガンダムとかあたりのロボットと同じくらいだろうか。人間と獣の間みたいな背中の丸いフォルムや、0号(機)ということからも『エヴァンゲリオン』へのリスペクトが窺える。ちなみにメカ丸という名前は幸吉が昔観たロボットアニメの機体から取ったそうで、もしかしたらメカ丸試作0号は、作者の芥見下々ではなく、幸吉本人がエヴァンゲリオンを模したのかもしれない。

動力は、幸吉のこれまでの人生である17年間だ。17年間の間に溜めた呪力ではなく、不自由な身体に縛られていた17年間という時間そのものがエネルギーになっている。ダムを破壊するほどの威力を持つ大祓砲(ウルトラキャノン)は1年間、二重大祓砲(ミラクルキャノン)は2年間、といった具合に出力して攻撃する。

エネルギーを数値化するわかりやすさはロボットアニメのようだが、そのエネルギー自体が幸吉の人生で悲しみそのもの。いい具合に「ロボットアニメ×呪術廻戦」に仕上がっている。

敵よりも悪に見える五条悟


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