『呪術廻戦』映画を待ちながら1巻から読み直す「第1話から傑作」感がないのが逆にすごい

2021.4.5
呪術廻戦1

文=さわだ 編集=アライユキコ 


『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中のマンガ『呪術廻戦』(作・芥見下々)の映画化が決定。書店では売り切れが続出し、堂々たる『ジャンプ』の看板漫画だ。映画公開(今年の冬らしい)を待ちながら、『ジャンプ』大好きライター・さわだが、1巻から隔週で読み直していきます。

初連載とは思えない、攻め攻めの1話

僕の記憶では、確か連載開始時の『呪術廻戦』はそれほど注目を浴びる作品ではなかった。人気で決まると言われる『ジャンプ』の掲載順もうしろのほうが多く、あとからジワジワ伸びてきた作品だ。よく人気漫画は、「1話からモノが違った」とか言われたりするが、その類ではなかった。

超人気作となった現在、改めて1話を読んでもその印象は変わらない。もちろんつづきを知った上で読んでいるぶんにはメチャメチャにおもしろいのだが、初読だったら今後に胸を躍らせるかと言われると、ちょっと違う。というのも、『ジャンプ』の過去作品と比べて1話の構成が複雑過ぎるのだ。

たとえば、1話が完璧だったでおなじみの『ONE PIECE』。海賊に憧れたルフィが悪魔の実を食べてゴム人間になるも、自分の不甲斐なさを知り、成長して海へ出るというというストーリーだ。世界観とキャラクターがわかりやすいシンプルな展開で、これからどんな冒険が待っているんだろう?という期待を持たせる。

これに比べて『呪術廻戦』は、「呪術師と呪いの関係」「主人公・虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)の超人的な身体能力」「伏黒恵の特殊能力」「おじいちゃんの遺言」「得体の知れない両面宿儺の指を突然食べる虎杖の突飛なキャラクター」など、とりあえず、飲み込み切れずにスルーしてしまう重要シーンが多めだ。また、使い捨てキャラのオカルト倶楽部の佐々木と井口に妙に味を持たせているのも、飲み込み切れない。

虎杖の「死」に対する価値観が少しずつ固まっていく様──亡くなる間際のおじいちゃんとの会話──は、今読めばどのシーンもおもしろい。でも、初めてだったら「いろいろあってよくわからない」という感想になりそうだ。

ラストも珍しい。読者アンケート至上主義と言われる『ジャンプ』では、1話で起承転結をきっちり作り、そのマンガの楽しみ方を見せる。しかし、『呪術廻戦』は、「虎杖が両面宿儺に乗っ取られてこの先どうなる!?」という「引き」で終わっている。つまり、スッキリさせていないのだ。

要素が多く、引きで終わった1話。初読でバーンとおもしろいというよりは、じっくりジワジワおもしろい作り。『ジャンプ』の定石とズレているのではなく、あえてズラしているのは明らかだ。芥見下々も担当編者も、初連載とは思えない攻め方をしている。

『劇場版 呪術廻戦 0』解禁映像

2話のほうが1話っぽい


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