Pairsで入るべきコミュニティは「星野源」。『普通の人でいいのに!』作者らが語るマッチングアプリのリアル

2020.11.5

ツイッターで話題を呼んだマンガ『普通の人でいいのに!』。その作者である冬野梅子が登壇したイベント「『普通の人でいいのに!』 〜サブカルチャー・自意識・マッチングアプリ〜」が、9月24日にNaked Loftにて開催された。

本稿はこのイベントを主催した、元アーティストマネージャーであり、現在はライターとして活動する張江浩司がレポートする。


冬野さんとマッチングしていた私(張江)がイベントを開く理由

いつまで経っても梅雨が明けず、ジメジメとした暑苦しさに包まれた7月下旬の深夜。いつものようにツイッターを眺めていると、知人の女性が「このマンガえげつねぇ……」と吐き捨てるように書いていた。

気になったのでそのツイートにあるURLを辿り、読んだのが『普通の人でいいのに!』。33歳事務職女性のこじれまくったサブカル的自意識と、それを取り巻く人間関係と恋愛の悲喜交交、と書けばありふれたマンガなのだが、あまりにも当事者性が強いリアルな「イタい」描写の数々に自分も「ぐおおお……」と声を出して悶絶。まったく他人事とは思えず、似たような経験が蘇ってきて眠れなくなり、とりあえず家に常備してあるキンミヤ焼酎を炭酸で割ってガバガバ飲んだ。

翌日以降、ツイッターのタイムライン上ではこのマンガが刺さり過ぎてしまった人々が死屍累々といった様相で、徐々にその輪は広がり、掲載されているサイト『コミックDAYS』の読者数ランキングで1位を獲得(しかも掲載から2カ月半にわたってトップ10圏内をキープ)。

友人と顔を合わせれば「あのマンガ読んだ?」と話題に上がって、お互いの感想をぶつけ合い、結果どんよりした気持ちになって解散するということが何度もあった。

『ONE PIECE』ぐらい国民的なマンガなんじゃないかと錯覚するくらい局所的に盛り上がるなか、友人から「これって張江さんじゃないですか?」と画像が送られてきた。

それは『普通の人でいいのに!』の作者、冬野梅子さんの前作『マッチングアプリで会った人だろ!』のひとコマ。この作品はタイトルどおり、冬野さん自身がマッチングアプリを使ってみた経験をもとに描かれた62ページにわたるエッセイ漫画で、「清野とおるエッセイ漫画大賞」で期待賞を受賞している。

送られてきたコマには「アプリでマッチングしたのにメッセージを送ってこなかった男」のアイコンが描かれているのだが、改めてよく見てみると、うわ、確かにこれ俺だわ……。ということは、あのときマッチングしたのが冬野さんだったのか……!

なんとも形容し難い縁を感じた私は「俺がやらなきゃ誰がやる」という謎の使命感を覚え、『普通の人でいいのに!』に揺さぶられまくったという友人、ポス子さんとキクイマホさん、そして冬野さんをお招きして、配信でトークイベントを開催することにした。

ポス子さんは8種類以上のマッチングアプリを縦横無尽に使いこなし、日々知り合った男性とデートを重ね、「婚活サイボーグ」の異名を持つ。キクイさんは「うみのて」や「HOMMヨ」といったバンドのドラマーで、大森靖子さんのトークイベントにもたびたび出演している。

ふたり共10年ほど前のライブハウスというサブカルチャーのど真ん中で知り合って、たまに会っては飲みながらこじれた自意識を全開にしてグダグダ話す仲だ。 

イベントは2時間を超え、どんよりしつつもひっきりなしに爆笑が起こる情緒不安定な内容になった。マンガにも劣らない切れ味抜群な冬野さんの発言を中心に、その模様をお届けする。

本当は「普通の人でいい」わけじゃない


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張江浩司

(はりえ・こうじ)1985年北海道生まれ。居酒屋店主、タレントマネージャーなどを経て、2020年よりフリーランスのライター、司会、バンドマンなど多岐にわたり活動中。傍目からは「あの人何して生活してるの?」とよく言われる。レコードレーベル「ハリエンタル」主宰。

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