劇場版では煉獄杏寿郎の生き様に注目
つづいてクローズアップされるのが、全集中の呼吸・炎の呼吸を極めし炎柱こと煉獄杏寿郎だ。劇場版『無限列車編』における主人公のひとりでもある。
この人は代々、炎の呼吸を伝えてきた名門・煉獄家の長男として生まれ、ほとんどが「鬼に身内を殺されて、鬼を狩る側になった」ほかのメンバーと違い、幼いころから修練に努めた生粋の剣士だ。育ちもいいためか、極端なパーソナリティが大半を占める柱の中ではすこぶる常識人でもある。
柱合裁判で開口一番「鬼もろとも斬首する!」と宣言した本人ではあるし、炭治郎らの助命に理解を求めるお館様に「理解できないお考えだ!!」と全力で反対もしている。が、「(鬼化した禰豆子が)人を喰い殺せば取り返しがつかない!! 殺された人は戻らない!」という主張は至極真っ当だし、禰豆子が2年以上も人を喰っていないこと、3人(炭治郎・鱗滝左近次・義勇)の命がかけられていることを否定するにはそれ以上のものを差し出すべき、と説明されると「むぅ!」とうなずく。これほど他人の話をよく聞くキャラクターは、歴代ジャンプマンガを探しても珍しいのではなかろうか。
すでに煉獄が劇場版の主要人物として大活躍することは、YouTube等の本予告でも明かされており、原作未読の人にもネタバレとはならないはず。見た目どおりに熱くてまっすぐなこの剣士がいかに生きるか、いかに生きてきたかは映画館の大スクリーンで見届けてほしい。炭治郎は本当に出会いに恵まれているよね……。
そして上弦たちもまた、一部は(もともと外道もいる)鬼舞辻無惨の「被害者」でもある。柱と上弦の鬼たちとの激突は、切ない人生同士が交錯して精妙かつ複雑な織物が織られていくことなのだ。これ以上はネタバレ防止のため、柱たちの生き様を具体的に語れないのが悔しくてたまらないが、劇場では煉獄の一挙手一投足を目に焼きつけてほしい。早く全国民が『鬼滅の刃』全巻を買って読んで、ネタバレという概念がこの世からなくなりますように!
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