「アイドル」の概念が次元を越えた。「バーチャルTIF」開催、注目VTuberたちの“生き様”を解説

2020.10.2


リアルとバーチャルの壁を超える初の開催

ときのそら
ときのそら

昨年のえのぐは普通のアイドルと同じ枠に入ってライブを披露していたが、今年は「バーチャルTIF」としてVTuberアイドルがひとつの枠にまとまっている。これはファン層の違いを考慮すると、初の試みとして見分けやすさの点では正解だろう。

バーチャルな存在での「アイドル」は、定義がものすごく曖昧だ。今回は、歌とダンスを披露するイメージとしての「アイドル」だけが出ているわけではなく、エンターテイナー・アーティスト枠もかなりの数、壁がない状態で混ざっている。

VTuberにおいての「アイドル」は、「元気のやりとりをする存在」を自称をしているかどうかが目安の、だいぶアバウトな感覚で語られている。ファンに対して音楽やトークのエンタメを提供するVTuber、そんなVTuberからエネルギーをもらって応援するファン、ファンの応援を受け取るVTuber。この熱の循環はアイドルのライブの構図とほぼ同じだ。キャラクター性がアバターによってはっきりしていることもあり、アニメファン層には親しみやすく距離が近い。

今回「バーチャルTIF」枠が開設されたことにより、今までTIFに参加していなかったVTuberファンが大量にイベントに流入するだろう。チケットは当日券と通し券のみで、全部ひとまとめだ。VTuberファンがほかのリアルアイドルを観に行くことも、アイドルファンが「バーチャルTIF」に興味を持って覗きにいくことも、現地だと大変で諦めかねないところだが、オンラインならものすごく簡単。今年の現状があってのオンライン開催は、リアルとバーチャルのアイドルの壁を超える初の開催としては、奇しくもちょうどいい塩梅になった。

思い出す、2013年の大森靖子

TIF2020の特徴として、アイドルアニメ・ゲームの声優ユニットが参戦していることも注目したい。いわゆる「2.5次元」と呼ばれるスタイルで、声優が自らアイドル衣装を着てキャラクターの歌とダンスを披露する。

3次元(リアル)、2.5次元(声優)、2次元(VTuber)の出演者をそろえたということは、イベントスタッフによる「アイドル」をもっと多くの層に広めたい、自由に楽しんでもらいたい、という思いが感じられる。NMB48、アイドルマスター シャイニーカラーズ、まりなす(仮)、虹のコンキスタドールがごそっとタイムテーブルに並んでいる現状、今までだったらまずあり得なかった。

大森靖子が初めてTIF(2013)に出場したときのことを思い出す。アイドルファンからは最初「なんでここに?」というどよめきが多数あった。パフォーマンス後、多くの人が彼女の実力に引き込まれ、拍手喝采になった。彼女が有無を言わさず納得させるだけの素晴らしい表現者であることが観客に伝わったからだ。

今回はバーチャル、2.5次元、リアルのアイドルが同じ俎上に上がった。次元関係なく全員に共通するのは「アイドルが好き」「表現者である」という点だ。それぞれのステージがガラパゴス化せず、いい意味で「これもあり」と各々のファンが言い合えるようになったら、今年のTIFは大成功だろう。


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