買い物も投資も、選挙みたいなもの。投資家のバンドマンが考える、くそ笑える未来のつくり方

2020.8.16

自分のためにお金を増やすことだけが「投資」の目的ではない

一方で、世間では投資というものは「ズルくて汚い大人たちのギャンブル」というような扱いを受けていて、投資家という肩書きで活動していると「守銭奴」とか、「悪い人」みたいなおちょくりをされることも珍しくない。ほとんどの投資家はそんなものかもしれないけど、全部がそうではないということは伝えておきたい。

少なくとも、自分にとって投資というのは「ギャンブル」ではなく「自分で選ぶことから逃げないこと」だ。

貯金は堅実だと言われているけど、日本経済が破綻したときに助けてくれるのは銀行預金よりも海外株だろうし、破綻に備えて海外資産を持つことがズルいと言われる世界では、あんまりやっていきたくない。それに、言われるがままに貯金していたら、銀行たちはそのお金を非人道的な兵器を作る会社に投資したり、社員を人として扱わない会社に投資したり、そういうことを平気でやる。

貯金なんか増えても増えなくてもいいから、もう少し優しくて知性ある社会になってほしい。自分のエネルギーは、そういう社会のために流していきたい。お金を稼ぐときも、使うときも、持つときも、できるだけ自分自身で選んでいこうと思う。

条件のマシな会社に就職して、買いやすいものばかり買って、投資は「お金持ち好みのギャンブル」だって、こんなことをつづけていたら、お金持ち好みの会社ばかりが残っていって、そういう世の中になっていく。

一人ひとりのエネルギーは小さいかもしれないけど、ゼロじゃない。そのエネルギーは、くそ笑える未来に向かって余すことなく使っていきたい。

少し前にそういう本を書いて、6月末に発売された。『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』という、タイトルが長くて黄色い本。その本では、お金の性質や仕組み、資本主義と付き合っていく方法など、さまざまな角度からお金を考えて、丁寧かつぶっきらぼうに書いてみた。自分が好きそうな本屋さんやWEBショップで売れやすくなるようなタイトルと表紙が設定されているので、この本が売れること自体、俺にとっての「くそつまらない未来」を変えていく役に立つ仕組みになっている。

『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』ヤマザキOKコンピュータ/タバブックス

それに、大型書店の投資コーナーを埋め尽くしている「1億円の稼ぎ方」とか「FXで誰でも毎月5万円」みたいな本の中に、本書が1冊挟み込まれるだけでも、100対0の世界が99対1に変わるかもしれない。地下資源を食い尽くすばかりの消費競争や、再開発の連続で色がなくなった四角い街にはもうとっくにうんざりしていて、くそ笑える未来を切に願う。

明日はレモンをライムに、きび砂糖は黒糖に変えて、新しいコーラを試作してみようと思う。また早起きしなければならない。

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