失われゆくアーケード商店街と、突然のバーベキュー

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2020.7.26

パリッコのマイバスケット・イズ・スーパーマーケット 第6回

文・写真=パリッコ 編集=森山裕之


『酒場っ子』、『つつまし酒』などの著書を持つ、若手飲酒シーンの旗手・パリッコさんが提案する「スーパーマーケット」の楽しみ方。

子供の頃は近くだったけど遠くて、わざわざ行くことがなかった土地「大泉学園町」が最近急に気になり始め、出かけてみることに。

エリアの入口に当たる、日本初のハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」東京23区最後の生き残りである「マルエツ大泉学園店」をはじめ、そこには「未開」で懐かしく、今日初めて来たのに愛おしい非日常な異世界空間が広がっていた。

未知の街「大泉学園町」

僕は、東京都練馬区の大泉という街で生まれた。そのあたりに土地勘のある人にしかわからない話だろうけど、大泉学園駅周辺は東大泉、西大泉、南大泉などのエリアに分かれていて、僕の実家は南大泉にあり、駅からは徒歩で10分くらいだろうか。

ところで大泉にはもうひとつ、「大泉学園町」というエリアが存在する。大正11年に「箱根土地会社」が開発を始めた街であり、もともとは大学などの高等教育機関を誘致し、学園都市として発展させてゆく計画だったそうだ。ところが肝心の教育機関の誘致に失敗し、「大泉学園」という地名だけが残ったという、なんとも憎めない由来を持つ。それでも高級分譲住宅地としての開発はつづき、結果その一帯だけが整然と碁盤の目に整備された、どこか独特な街並みが広がっている。

そしてこの大泉学園町、駅名にもなっておいて信じられないことに、駅からはものすごく遠い。北口から学園通りをひたすら北上すること2km。不動産の表示基準による徒歩所要時間、なんと25分だ。なので「大泉学園出身」と「大泉学園町出身」では微妙にニュアンスが違ったりする。あまりにもローカルな話で面目ありませんが……。

だいたいずっとこんな景色
裏通りに入ると「碁盤の目感」がよくわかる

なので当然、子供時代は、大泉学園町にはほとんど縁がなかった。僕と同じく「大泉小学校」や「大泉中学校」あたりに通ったような人ならわかってくれると思うんだけど、大泉学園町ははっきり言って未知のエリアだ。だって、わざわざ遊びに行くような何かがあるわけじゃないし。

ところが最近、実は大泉学園町がとても気になっている。僕が実家を出て現在住んでいるのが、大泉の隣の石神井という街。無駄に街を徘徊することこそが趣味の大人となった今、そこまで遠くない場所に未知のエリアがあるとなれば、むしろ気にならないはずがないだろう。

日本初のハンバーガーチェーンでありながら近年その数を急激に減らしている「ドムドムハンバーガー」。その、東京23区の最後の生き残りが「ドムドムハンバーガー マルエツ大泉学園店」となってしまったのが、「ドムドムハンバーガー 赤羽北本通り店」が閉店した今年の5月末。そんなニュースを目にし、先日、久しぶりに大泉のドムドムハンバーガーを訪れた。このドムドムが、大泉学園町の入口くらいにある。そこで、ついでに学園町の最果てまで散歩してみた。すると、さすが歴史の長い街。通りに沿って、気になる個人商店がいくらでも見つかる。もちろんローカルなスーパーもちらほらとあり、どの店の佇まいもいい。

自ら噂を広めにいくスタイル
コンビニが今ほど増える前、街によくあったタイプの店
やたらとテンションが高いけど、少し買い物をしただけでものすごく親切に接客してくれた
打って変わって静かな店

異世界に迷い込んだかのような「四条名店会」


『アルバムって覚えてる?』プリンスの言葉がずっと頭の中に渦巻いていた――西寺郷太インタビュー(PR)

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